遺産分割における不動産の時価評価額はいつの時点のものが有効ですか?

遺産分割における不動産の時価評価額については、法律上明確に定められているわけではありません。
実務上の運用としては、相続人間の公平を確保するため、遺産分割時点での評価を基準とします。
例えば、被相続人が亡くなった時点から遺産分割協議までに不動産の価値が大幅に変動している場合、相続開始時点の評価額を使用すると、現在の市場価値とかけ離れた不公平な結果を招く可能性があります。
そのため、実務では遺産分割協議が行われる直前の最新の評価額が重視されます。
不動産の評価方法
不動産の評価方法はケースバイケースですが、以下のような手段が一般的です。
不動産鑑定士による鑑定評価:
専門家の鑑定を基に正確な時価を算定します。
固定資産税評価額の活用:
簡易的な基準として利用されることがありますが、市場価値とは乖離している場合があるため、注意が必要です。
路線価や公示地価の利用:
国税庁の路線価や国土交通省の公示地価を参考にする方法もあります。
遺産分割協議では、相続人間で合意できる評価方法を選ぶことが望ましいです。
また、評価額に相続人間で意見の相違がある場合、家庭裁判所の調停や審判で解決を図ることも可能です。
評価時点や方法についての合意が難しい場合、不動産鑑定士や弁護士の助言を受けることをお勧めします。
専門家は適切な評価手段や法的対応についてサポートを提供し、公平で納得のいく解決を実現する手助けをしてくれます。
まとめ
結論として、遺産分割における不動産の時価評価額は、原則として遺産分割協議時点のものを用いるのが一般的です。ただし、具体的な事情や相続人間の合意内容によって評価時点が異なる場合もあります。争いを未然に防ぐため、評価時点と評価方法について早期に合意形成を図ることが重要です。弁護士や専門家の支援を活用しながら、公平な遺産分割を目指しましょう。
この記事の執筆者

弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店
横須賀支店長・パートナー弁護士・税理士
中村 賢史郎
保有資格弁護士、税理士、司法書士有資格
専門分野相続事件・離婚事件・不動産事件・破産事件を主に取り扱う
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員