遺産に収益物件が含まれているのですが、その賃料収入や管理費用は誰か負担するの?

遺産に収益物件が含まれる場合、その賃料収入や管理費用の負担については、相続手続きの進行状況や相続人間の話し合いによって決まります。
1. 遺産分割が完了するまでの賃料収入の扱い
遺産分割が行われるまでは、収益物件を含む遺産は相続人全員の共有状態とみなされます(民法898条)。
そのため、賃料収入は共有財産として取り扱われ、相続人全員に法定相続分の割合で公平に分配されるべきものとされます。
2. 管理費用や維持費の負担
収益物件の管理費用(例: 修繕費、固定資産税、管理会社への支払いなど)は、話し合いにより相続人全員が法定相続分の割合で負担することが多いといえるでしょう。
実務的な対応
管理費用の立て替え
ある相続人が管理費用を立て替えた場合、遺産分割時に話し合いによりその費用を清算することが一般的です。
相続財産からの支払い
相続財産の中に現金や預貯金がある場合は、相続人ら全員の合意によりそこから管理費用を支払うことが可能です。
3. 遺産分割が完了した後の賃料収入と費用の扱い
遺産分割協議が成立し、収益物件を特定の相続人が取得した場合、その後の賃料収入は取得者のものとなり、管理費用もその人が負担することになります。
4. 収益物件が共有状態である場合
遺産分割後も複数の相続人で共有状態を続ける場合、賃料収入や管理費用は共有者全員で按分します。
5. まとめ
遺産に含まれる収益物件の賃料収入や管理費用は、遺産分割が完了するまでは相続人全員で分配・負担するのが原則です。遺産分割後は、物件を取得した相続人が責任を負います。トラブルを防ぐため、相続人間で管理方針や費用負担について十分な話し合いを行い、不明点があれば弁護士に相談して円滑な手続きを進めることをお勧めします。
この記事の執筆者

弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店
横須賀支店長・パートナー弁護士・税理士
中村 賢史郎
保有資格弁護士、税理士、司法書士有資格
専門分野相続事件・離婚事件・不動産事件・破産事件を主に取り扱う
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員