遺産である賃貸物件から発生する収益を1人の相続人が独占している場合どうすれば平等に分配できますか?

遺産である賃貸物件からの収益を1人の相続人が独占している場合、他の相続人は法的な対応を取ることで、公平な分配を求めることが可能です。
1. 法定相続分の確認と協議の提案
賃貸物件から発生する収益は、基本的に遺産分割が完了するまでの間、全相続人が法定相続分の割合で分割して取得します。そのため、収益については、各相続人の法定相続分に応じて分配されるべきといえます。まずは、独占している相続人やその他の相続人と話し合いを行い、現状の把握と収益の公平な分配を提案してみるのが第一歩でしょう。
遺産分割が完了した後は収益の発生している不動産取得者が収益を得ることとなります。
2. 収益の状況を確認
具体的な収益の金額や管理方法を確認する必要があります。必要であれば、物件の管理状況や収益の詳細について書面等で情報開示を求めましょう。被相続人の生前の確定申告書が収益についての手掛かりになることもありますので、併せて確認してみましょう。
3. 遺産分割協議の実施
話し合いによる解決が難しい場合、遺産分割協議を先行して行い、併せて話し合うことが必要といえます。物件の収益分配や物件そのものの帰属を含めて話し合います。全相続人が合意できる内容を決定し、合意内容を「遺産分割協議書」に記載することで法的効力が生じます。
4. 調停または訴訟の申立て
協議が不調に終わった場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てることができます。調停が成立しない場合には「審判」に移行し、裁判所が公平な判断を下します。調停で収益についても併せて解決するのが望ましいのですが、収益の分配について解決しなかった場合に、特定の相続人の収益の独占が不当であると判断される場合には、当該相続人に対して不当利得返還請求(民法703条)を提起することも可能です。
5. 専門家のサポートを依頼
問題が複雑化する場合や法的知識が必要な場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士は、収益状況の調査や遺産分割協議書の作成、調停・訴訟手続きでの代理人業務を通じて適切な解決をサポートします。
このような状況では、早期に適切な対応を取ることが重要です。一人で抱え込まず、法的なサポートを得ながら解決を図りましょう。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員