遺言の内容と異なる遺産分割はできますか?

遺言は、被相続人(亡くなった方)が自身の財産をどのように分けるかを示した最終的な意思表示です。しかし、相続人全員が合意すれば、遺言の内容と異なる遺産分割を行うことは可能です。
遺言の法的効力
有効な遺言書が存在する場合、遺産は原則としてその内容に従って分割されます。遺言者が特定の相続人に財産を指定している場合や、特定の割合で分割するよう指示している場合、原則としてその内容で相続人は財産を取得します。
相続人全員の合意があれば内容変更が可能
遺言がある場合でも、相続人全員が同意すれば、遺言内容と異なる遺産分割をすることができます。しかしながら、全員の同意が求められますので、一人でも反対する相続人がいる場合、遺言内容に従わざるを得ません。全員の合意が得られた場合は、遺産分割協議書を作成し、全員が署名・押印することで協議の結果を正式な形で残します。
注意すべきポイント
遺言内容と異なる遺産分割を行う際には、次の点に注意が必要です。
遺留分を侵害しないこと
特定の相続人に対して遺留分を侵害するような分割は、後日トラブルの原因となります。遺留分とは、法律で最低限保証される相続分のことで、兄弟姉妹を除く法定相続人に認められています。
贈与税の発生
遺言が存在する場合、一旦相続人が遺言の内容通りに財産を取得することになりますので、遺産分割協議という形をとったとしても、実態は相続人間での贈与となり場合によっては贈与税が課税される可能性があります。
この記事の執筆者

弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店
弁護士
中村 賢史郎
保有資格弁護士、司法書士
専門分野相続
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
2009年 司法書士試験合格
広島大学法科大学院卒業
2009年 司法書士試験合格