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特別受益の持ち戻し免除とは?遺言で特定の相続人の取り分を増やす方法

「長男には、家の購入資金として多額の生前贈与をしたが、これは相続分の前渡しではなく、純粋なプレゼントとしてあげたものだ」「長年、私の介護を献身的にしてくれた長女に、他の子より多く財産を遺してやりたい」。このように、相続人間の実質的な公平を図るため、あるいはご自身の想いを反映させるために、特定の相続人の取り分を多くしたいと願う方は少なくありません。

しかし、法律の原則通りに遺産分割を行うと、過去の生前贈与(特別受益)が相続分の計算に影響し、あなたの想いとは異なる結果になってしまう可能性があります。その事態を避けるための強力な法的手段が、「特別受益の持ち戻し免除」です。この記事では、この制度の仕組みと、遺言で意思表示をする具体的な方法について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

まず基本から:「特別受益の持ち戻し」とは?

「持ち戻し免除」を理解するために、まずは原則である「特別受益の持ち戻し」について知る必要があります。

特別受益とは、特定の相続人が、亡くなった方(被相続人)から生前に受けた、結婚資金や住宅購入資金などの多額の贈与のことです。これは、実質的に「相続財産の前渡し」とみなされます。

そして持ち戻しとは、遺産分割の際に、この特別受益の額を一旦、相続財産に加算した上で(みなし相続財産)、各相続人の法定相続分を計算し、特別受益を受けた相続人は、その法定相続分から贈与額を差し引いた分を受け取る、という計算方法です。これは、相続人間の公平を保つためのルールです。

「持ち戻し免除の意思表示」で、故人の意思を尊重する

この持ち戻しの原則に対し、被相続人が「あの生前贈与は、相続分の前渡しではないので、持ち戻しの計算に含めなくてよい」という意思表示をすることができます。これが「持ち戻し免除の意思表示」です。

この意思表示があれば、その生前贈与は遺産分割の計算から完全に除外されます。つまり、特別受益を受けた相続人は、生前贈与を受けた上に、さらに残った遺産についても、他の相続人と同じ法定相続分を受け取ることができるのです。これにより、被相続人はご自身の意思で、特定の相続人の最終的な取得分を、実質的に増やすことができます。

持ち戻し免除の意思表示を、遺言で行う方法(文例付き)

持ち戻し免除の意思表示は、口頭などでも可能とされていますが、後々の紛争を避けるため、必ず、法的に有効な遺言書の中で明確に意思表示しておくことが最も確実で、強く推奨される方法です。

遺言書に記載する際は、どの贈与について持ち戻しを免除するのかを、誰が見ても分かるように具体的に記載することが重要です。

【遺言書の記載例】

第〇条 遺言者は、長男・〇〇太郎に対し、令和〇年〇月〇日に贈与した住宅取得資金2,000万円について、民法903条3項に基づき特別受益の持ち戻しを免除する。

このように、誰に、いつ、何を贈与したかを特定し、明確な意思表示を記載します。

重要:持ち戻し免除にも限界が。遺留分との関係

持ち戻し免除は、被相続人の意思を反映させる強力な手段ですが、万能ではありません。一つだけ、重要な限界があります。それは、他の相続人の「遺留分」を侵害することはできないという点です。

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障された、最低限の遺産の取り分です。この遺留分を計算する際には、たとえ持ち戻しが免除された特別受益であっても、その額を相続財産に加算して計算します。

その結果、持ち戻し免除を適用したことで、他の相続人の最終的な取得分が、その人の遺留分額を下回ってしまった場合、その相続人は、遺留分を侵害されたとして「遺留分侵害額請求」を行うことができます。持ち戻し免除を検討する際は、他の相続人の遺留分を侵害しないかどうかの配慮も必要です。

虎ノ門法律経済事務所 横須賀支店の強み

  • ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
    1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。
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  • ③グループ内で連携したワンストップサービス
    当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。

相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。

「特別受益の持ち戻し免除」は、あなたの想いを相続に反映させ、特定の相続人に多くの財産を遺すための有効な法的手段です。しかし、その意思表示は、遺留分などの法律上の制約も考慮した上で、法的に完璧な形で遺言書に落とし込む必要があります。ご自身の想いを確実に実現し、相続人たちが円満に相続を終えられるよう、遺言書の作成は、ぜひ私たち専門家にご相談ください。

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本記事は、令和7年8月11日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

この記事の執筆者
弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店 横須賀支店長・パートナー弁護士・税理士 中村 賢史郎
保有資格弁護士、税理士、司法書士有資格
専門分野相続事件・離婚事件・不動産事件・破産事件を主に取り扱う
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員