相続人がいない「おひとりさま」の財産はどこへ?

生涯独身の方や、子供がおらず、親や兄弟姉妹も既に亡くなっている、いわゆる「おひとりさま」。ご自身が懸命に築き上げてきた財産について、「自分が亡くなった後、この財産は一体どうなってしまうのだろう」と、漠然とした不安を抱えていませんか。身寄りがいないからといって、何もしないでいると、あなたの財産は最終的に国のものになってしまいます。
しかし、生前に適切な準備をしておけば、あなたの財産を、お世話になった人や、応援したい団体などに確実に引き継がせることが可能です。この記事では、相続人が一人もいない「相続人不存在」の場合に財産がたどる道のりと、あなたの最後の意思を形にするための法的な方法について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
原則:相続人がいない財産は、最終的に「国」のものに(国庫帰属)
まず、何の対策もしなかった場合の原則的な流れを知っておきましょう。法律上の相続人が一人もいない方の財産は、利害関係人(債権者など)からの申立てにより、家庭裁判所が選任する「相続財産清算人」によって管理・清算されます。
清算人は、故人の借金を返済したり、遺言があればその内容を実現したりした後、最終的に残った財産を「国庫」、つまり国に引き渡します。これが、法律で定められた最終的な財産の行き先です。
財産を国に渡さないための3つの方法
ご自身の財産を、国ではなく、特定の誰かに引き継いでもらいたいと願うなら、生前に意思表示をしておくことが不可欠です。そのための主な方法は3つあります。
方法1:最も確実な「遺言書」を作成する
最も確実で、最も一般的な方法が「遺言書」の作成です。遺言書があれば、法定相続人ではない第三者、例えば、お世話になった友人・知人、内縁の配偶者、あるいは応援したいNPO法人や母校などに、財産を「遺贈」というかたちで自由に遺すことができます。遺言書は、あなたの最後の意思を実現するための、最も強力な法的ツールです。
方法2:「死因贈与契約」を結んでおく
これは、「私が死んだら、この不動産をあなたに贈与します」という内容の契約を、財産を渡したい相手との間で生前に結んでおく方法です。遺言が一方的な意思表示であるのに対し、死因贈与は双方の合意に基づく「契約」である点が異なります。
方法3:「特別縁故者」制度に託す(最終手段)
遺言がない場合に、残された人が財産を受け取れる可能性のある最後の手段が「特別縁故者」の制度です。これは、相続人不存在が確定した後、故人と特別に親しい関係にあった人が家庭裁判所に申し立て、認められれば財産の分与が受けられる制度です。しかし、申立てができる期間が非常に短い、必ず認められるとは限らないなど、不確実性が高いため、基本的には遺言書を作成しておくべきです。
特別縁故者とは?財産を受け取れる可能性のある人
特別縁故者として認められる可能性があるのは、以下のような方々です。
- 亡くなった方と生計を同じくしていた人(内縁の配偶者など)
- 亡くなった方の療養看護に努めた人(身を挺して介護をした親族など)
- その他、亡くなった方と特別の縁故があった人(家族同然の付き合いがあった友人など)
ただし、これらの人が自ら家庭裁判所に申立てを行い、その関係性を客観的な証拠で証明しなければならず、自動的に財産がもらえるわけではありません。やはり、遺言書で明確に意思を示しておくことが、相手への最大の思いやりと言えるでしょう。
虎ノ門法律経済事務所 横須賀支店の強み
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
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当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
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「おひとりさま」にとって、終活、特に財産の承継先を決めておくことは、ご自身の人生の総仕上げとも言える重要な作業です。あなたの想いを確実に未来へつなぐため、そして、残された大切な人に負担をかけないためにも、法的に有効な遺言書の作成は不可欠です。私たちは、あなたの想いを丁寧にヒアリングし、それを最も確実な形で実現するためのお手伝いをいたします。どうぞお気軽にご相談ください。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年8月11日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員