再婚相手の「連れ子」に相続権は?遺言がないとどうなる?トラブルを避けるための生前対策を弁護士が解説

再婚が一般的になる中で、「再婚相手の連れ子を、自分の子どものように大切に思っている。自分の財産を遺してあげたい」「もしもの時、自分の子と連れ子の間で相続トラブルが起きないか心配」といったご相談が、横須賀市内にお住まいの方からも増えています。
愛情の深さとは裏腹に、法律上の親子関係はまた別の問題です。実は、何もしなければ再婚相手の連れ子に、あなたの財産を相続する権利は発生しません。 知らずにいると、大切なご家族が将来、予期せぬ困難に直面する可能性があります。
この記事では、連れ子の相続権の基本から、円満な相続を実現するための具体的な生前対策まで、 税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
【原則】何もしなければ、連れ子に相続権はない
まず、最も重要な法律上の原則からご説明します。 相続人になれるのは、法律上の「親子関係」がある人のみです。そして、法律上の親子関係は、
- 血のつながりがある「実子」
- 養子縁組をした「養子」
のいずれかしかありません。 再婚相手の連れ子は、あなたと血のつながりがないため「実子」ではありません。そして、ただ再婚しただけでは「養子」にもならないのです。 したがって、遺言書などの特別な対策を何もしないまま相続が発生した場合、残念ながら連れ子はあなたの財産を一切相続することができません。
この場合、法定相続人となるのはあなたの「配偶者」と「実子」のみとなり、彼らで遺産分割協議を行うことになります。
連れ子に財産を遺すための3つの生前対策
「大切な連れ子にも財産を遺したい」とお考えの場合、生前にしっかりと対策を講じる必要があります。主な方法は以下の3つです。
対策①:養子縁組をする
最も確実で、根本的な解決策が「養子縁組」です。 市区町村の役所に養子縁組届を提出することで、連れ子は法律上あなたの「子」となり、実子と全く同じ立場で相続権を得ます。 相続順位も法定相続分も、実子と何ら変わりありません。
- メリット: 相続人として法的に安定した地位を得られる。相続税の基礎控除額が増える可能性がある。
- 注意点: 一度縁組をすると簡単には解消できません。また、他の相続人(実子など)の理解を得ておくことが、将来のトラブル回避のために重要です。
対策②:遺言書を作成する
養子縁組には抵抗がある、という場合に有効なのが「遺言書」の作成です。 遺言書によって、法定相続人ではない連れ子に財産を「遺贈」することができます。「自宅の不動産を連れ子に」「預貯金のうち〇〇円を」など、遺したい財産と相手を具体的に指定することが可能です。
- メリット: 養子縁組をしなくても、特定の財産を確実に渡せる。
- 注意点: 実子など他の相続人には、最低限の取り分である「遺留分」があります。遺留分を侵害する内容の遺言書は、かえってトラブルの原因になるため、配慮が必要です。
>>希望の遺言書を作成したい方はこちら
>>遺産をもらえない内容の遺言書が見つかった(遺留分について)
対策③:生前贈与をする
ご自身が元気なうちに、連れ子へ財産を贈与する方法です。 確実に財産を渡すことができ、感謝の気持ちも直接伝えられます。ただし、年間110万円を超える贈与には贈与税がかかる点や、多額の生前贈与は他の相続人から「特別受益」だと主張され、遺産分割で揉める可能性がある点に注意が必要です。
生前対策をしないと、どんなトラブルが起こりうるか?
対策を怠ったことで、愛情深い家族関係が相続を機に崩れてしまうケースは少なくありません。
- 「介護を頑張ったのに…」財産がもらえず生活に困窮
あなたが長年連れ子に介護をしてもらっていたとしても、相続権がなければ財産は渡りません。献身的に支えてくれた連れ子が、経済的に苦しい状況に置かれてしまう可能性があります。 - 実子と連れ子の感情的な対立が深刻化
遺産分割協議に連れ子は参加できません。実子だけで話し合いが進むことに、連れ子は疎外感を抱きがちです。一方で実子側も、「親の面倒を見ていたのは事実だが…」と複雑な感情を抱え、関係が悪化することがあります。
>>遺産の分け方で揉めている方はこちら - 他の相続人から遺産の調査や管理を拒否される
連れ子は相続人ではないため、どのような遺産があるか調査したり、管理に関与したりする権限がありません。不安な状況のまま、何もできずに時間だけが過ぎてしまうこともあります。
>>遺産の内容を調査して欲しい
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広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員