葬儀代(葬式費用)の支払いや負担は誰がするのですか?

負担者は?
葬儀代の支払いについて原則的には、葬儀会社と契約した方が支払うことになります。
葬儀会社と契約するのは一般的に喪主である葬儀主催者となることが多いことから、喪主が葬儀会社に葬儀代を支払うことが多いといえます。ただし、葬儀会社との契約内容によって支払者が喪主とならないこともあります。
近年の裁判例と傾向
葬儀代の支払者は、葬儀会社との契約者となりますが、葬儀費用の負担者については、近年の裁判例で、原則として喪主負担とする傾向が強まっています。
この考え方は「喪主負担説」と呼ばれ、多くの裁判例で採用されています。なお、裁判例で相続人らの均等負担と判示した事例もありますが喪主負担の裁判例よりも少数となります。
喪主が葬儀を自由に主宰することができるため、勝手に豪華な葬儀を主宰して、相続人に均等で負担するという結論になった場合に相続人に不公平であるため、喪主負担という結論には一定の合理性があるといえます。
相続人間の関係性にもよりますが、円満な話し合いで遺産分割が解決するケースでは、相続人らが均等に葬儀費用を負担するケースが多いでしょう。
実際の遺産分割調停でも、個別の事情を考慮し、相続人全員の合意により相続人らで均等に葬儀費用を負担するケースもよく見られることから、調停でも、相続人らで均等に負担するケースが多いといえるでしょう。
相続人間で争いが激化して審判や裁判にまでもつれ込むケースでは、葬儀費用について喪主負担になる可能性が高いことを念頭において話し合いを進めるべきでしょう。
この記事の執筆者

弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店
弁護士
中村 賢史郎
保有資格弁護士、司法書士
専門分野相続
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
2009年 司法書士試験合格
広島大学法科大学院卒業
2009年 司法書士試験合格