香典は遺産に含まれるのですか?また、香典返しは誰が負担してどこから支払うのですか?

法律的に遺産分割の対象になる遺産とは、一般的に以下の要件を満たすものとなります。
①相続により取得した遺産である ② 相続時に存在する ③ 分割時にも存在する ④ 未分割である ⑤ 積極財産である
香典は、故人に対する弔意や供養のために贈られるものです。被相続人が亡くなった時点、つまり相続の際に存在せず、相続後に贈られるものであるため、「②相続時に存在する」という要件を満たさないため、遺産分割の対象となる遺産には含まれません。しかしながら、相続人全員で合意すれば遺産に含めて遺産分割することも可能となります。
香典は遺産に含まれないため、誰が取得するかについて、法律上明確な規定はありません。一般的な習慣や慣例では葬儀費用を負担した者が取得することが多く、公平の観点からしても妥当でしょう。複数人で葬儀費用を支出した場合は、支出割合で負担するのがよいでしょう。
香典返しの費用については、通常、葬儀を主催した喪主が負担するのが一般的です。これは、葬儀全体の運営責任を担う立場にある喪主が、香典返しの雑務も含めて対応する慣行が広く行われているためです。
香典返しの費用については、喪主個人の負担とされる場合もありますが、多くの場合、香典の中から支出するのが一般的であり、香典返しの費用で紛争になるケースは少ないといえます。
この記事の執筆者

弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店
弁護士
中村 賢史郎
保有資格弁護士、司法書士
専門分野相続
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
2009年 司法書士試験合格
広島大学法科大学院卒業
2009年 司法書士試験合格