特別受益財産の評価額はどの時点のものですか?

特別受益財産の評価額は、原則として、相続開始時点(被相続人が亡くなった時点)の価額によるとされています。
1. 原則: 相続開始時点での評価
特別受益の評価は、相続開始時点の市場価値または経済的価値で行われます。例えば、以下のようなケースを想定します。
不動産:
被相続人が相続人の一人に不動産を贈与していた場合、相続開始時点での不動産の時価が特別受益の評価額となります。この時価は、不動産鑑定士の鑑定や固定資産評価額などを基準に算定されることが一般的です。
現金:
被相続人が相続人に現金を贈与していた場合、その贈与額がそのまま特別受益額となります。
株式:
被相続人が相続人に株式を譲渡していた場合、相続開始時点の株価が評価基準となります。
2. 評価時点を巡る例外的な取扱い
特別受益財産の評価額を決める際、話し合いにより相続人全員が合意が必要となりますが、評価時点を相続開始時点以外に設定することもあります。贈与時点での評価額が簡潔で争いも少ない等の場合では、相続人全員の合意の元、評価時点を贈与時として遺産分割することもあります。
3. 実務上の留意点
特別受益財産の評価額を巡って争いが生じることが少なくありません。評価方法や評価額について意見が一致しない場合は、不動産鑑定士や税理士など専門家の意見を取り入れながら協議することが重要です。また、特別受益の評価額が確定しないまま遺産分割を進めると、将来的に相続人間で紛争が拡大する恐れがあります。
評価額の確定には専門家の意見を参考にしつつ、遺産分割協議を進めることが重要です。不明点や争点がある場合は、速やかに弁護士や専門家へ相談することをお勧めします。
この記事の執筆者

弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店
横須賀支店長・パートナー弁護士・税理士
中村 賢史郎
保有資格弁護士、税理士、司法書士有資格
専門分野相続事件・離婚事件・不動産事件・破産事件を主に取り扱う
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員