不動産や預金、株等の名義変更はどうすればよいのでしょうか?

不動産や預金、株式といった財産の名義変更(名義書換)は、相続手続きの中で重要な手続です。各財産の種類ごとに必要な手続きや書類が異なるため、そのような手続ごとの違いを把握して進める必要があります。
不動産の名義変更(相続登記)
不動産の名義変更は、「相続登記」と呼ばれる手続きです。相続登記は、亡くなった方(被相続人)の名義となっている不動産を相続人名義に変更する手続で、不動産所在地を管轄する法務局で行います。
手続きの流れ
(1)遺産分割協議の実施
相続人間で不動産の分配方法を決め、遺産分割協議書を作成します。遺言書がある場合は、その内容に従います。
(2)必要書類の準備
被相続人の死亡に伴う戸籍謄本(出生から死亡までのもの)
被相続人の住民票の除票
相続人全員の戸籍謄本
遺産分割協議書(相続人全員の署名・押印が必要)
遺産分割に署名押印した相続人の印鑑証明書
不動産の固定資産評価証明書
専門家に依頼する場合は住民票
※その他、事案によって必要な資料は異なります。詳しくは司法書士等の専門家にお尋ねください。
(3)登記申請書の作成・提出
登記申請書を作成し、上記書類を添付して管轄の法務局に提出します。
(4)登録免許税の納付
名義変更には登録免許税が必要で、不動産の固定資産税評価額に基づいて算定されます(税率:固定資産税評価額の約0.4%)。
預金の名義変更(解約・払い戻し手続き)
金融機関での預金の名義変更は、解約・払い戻しの形で行うことが一般的です。相続人全員の同意が必要なため、事前に協議を済ませておきましょう。
手続きの流れ
(1)必要書類の準備
被相続人の死亡に伴う戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本遺産分割協議書または遺言書
相続人全員の印鑑証明書
該当する銀行通帳やキャッシュカード
※その他、金融機関によって必要な資料は異なります。詳しくは金融機関にお尋ねください。
(2)金融機関への連絡
被相続人が利用していた金融機関に連絡し、手続きに必要な書類や具体的な手順を確認します。
(3)払い戻し・解約手続き
金融機関に必要書類を提出し、相続人間で合意した分割方法に従って払い戻しや名義変更を行います。
株式の名義変更
株式や投資信託の名義変更は、証券会社または発行会社を通じて行います。証券口座にある場合は、その証券会社で手続きを行い、紙の株券の場合は発行会社が窓口になることがほとんどです。
手続きの流れ
(1)証券会社または発行会社への連絡
被相続人が利用していた証券会社や株式発行会社に連絡し、手続きに必要な書類を確認します。
(2)必要書類の準備
被相続人の戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本
遺産分割協議書または遺言書
相続人全員の印鑑証明書
株式や投資信託の保有証明(口座情報や株券など)
※その他、金融機関や発行会社によって必要な資料は異なります。詳しくは金融機関にお尋ねください。
不動産、預金、株式の名義変更方法の概要は以上となります。
遺産にはそれぞれに異なる手続きや必要書類が求められるため、早めに準備を始めることが重要です。特に、遺産分割協議書や適切な書類の準備が不可欠であり、不明点がある場合は弁護士に相談することをお勧めします。適切なサポートを受けることで、トラブルを防ぎ、円滑な名義変更が可能となります。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としている。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員