親の借金問題。生前の「自己破産」と死後の「相続放棄」、どちらを?

高齢の親に多額の借金があることが分かり、頭を抱えていませんか。「親が生きているうちに何とかすべきか」「自分が相続する時に何か手続きをすれば良いのか」。親の借金問題は、ご自身の将来にも直結するだけに、非常に深刻な悩みです。この問題を解決するには、大きく分けて2つのアプローチがあります。
それは、親が生きているうちに「親自身」が自己破産するという選択と、親が亡くなった後に「子供であるあなた」が相続放棄するという選択です。この二つは、行うタイミングも、手続きをする人も全く異なります。この記事では、どちらの選択があなたの家族にとって最適なのか、その判断基準とメリット・デメリットについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
選択肢1:親の生前に「親自身」が自己破産する
これは、問題の根本原因である「親の借金」そのものを、親が存命のうちに法的に整理する方法です。手続きの主体は、あくまで親自身となります。
メリット
- 問題の根本解決:親自身が借金の返済義務から解放され、督促や取り立てに怯えることのない、穏やかな老後を送ることができます。
- 親の生活の安定:借金返済がなくなることで、年金などの収入を、本人の生活費や医療・介護費に充てることができます。
- 将来の相続がシンプルに:親が亡くなった際、子供たちは親の借金問題に悩まされることなく、スムーズに相続手続き(あるいは相続放棄)を進めることができます。
デメリット
- 親の財産の処分:親が持ち家などの高価な財産を持っている場合、自己破産によってそれは売却処分されます。親が自宅を失うという大きな決断が必要になります。
- 本人の協力が必須:自己破産は、本人の意思に基づいて行う手続きです。親自身に手続きをする意思がなかったり、認知症などで判断能力が低下していたりすると、この選択はできません。
- 親は最期まで財産を維持できる:親は自己破産をしないため、持ち家などの財産を失うことなく、最期まで住み慣れた家で暮らし続けることができます。
- 親の協力が不要:親の意思とは関係なく、相続人である子供たちの判断で手続きができます。
- 親は借金の苦しみから解放されない:親は亡くなるまで、借金の返済や督促に悩まされ続ける可能性があります。
- 子供に課される「3ヶ月」の期限と負担:親の死後、子供たちは悲しむ間もなく、原則3ヶ月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きを完了させる必要があります。この短期間で財産調査や手続きを行うのは、大きな精神的・時間的負担となります。
- プラスの財産も一切相続できない:借金だけでなく、預貯金や不動産といったプラスの財産も全て放棄することになります。
- 親の意思と判断能力:親自身が借金問題を解決したいと望み、判断能力もはっきりしているなら、「生前の自己破産」が根本的な解決策となります。
- 親の持ち家の有無:「何としても親を最期まで自宅で暮らさせてあげたい」という想いが強いなら、死後の「相続放棄」を選択することになるでしょう。
- 親の現在の生活状況:すでに厳しい取り立てで親が疲弊しているなら、一刻も早くその苦しみから解放する「生前の自己破産」を検討すべきです。
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
相続問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。 - ③グループ内で連携したワンストップサービス
当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
選択肢2:親の死後に「子供」が相続放棄する
これは、親の借金問題を生前はそのままにしておき、相続が発生した(親が亡くなった)時点で、子供たちが借金を引き継がないようにする手続きです。手続きの主体は、子供たち自身です。
メリット
デメリット
【比較】どちらを選ぶべきか?判断のポイント
どちらの選択が最適かは、ご家族の状況や価値観によって異なります。判断のポイントは以下の通りです。
虎ノ門法律経済事務所 横須賀支店の強み
相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。
親の借金問題は、非常にデリケートで、家族間の話し合いが難しい問題です。「生前の自己破産」と「死後の相続放棄」、それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、ご家族全員が納得できる道を選ぶためには、専門家である弁護士の客観的なアドバイスが不可欠です。可能であれば、親子で一緒にご相談いただくことで、より円満な解決への道筋が見えてきます。一人で抱え込まず、まずは一度、ご相談ください。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年8月11日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員