遺言執行者とは?自分が指定されたらどうする?選任・辞任の方法から報酬まで

「親が遺した遺言書を開いてみたら、『遺言執行者に指定する』と自分の名前が書かれていた」「一体何をすればいいのか、責任は重いのか、不安でいっぱい…」
横須賀市内にお住まいの方からも、このような「遺言執行者」に関するご相談は少なくありません。遺言執行者とは、故人の最後の意思である遺言の内容を、法的に実現するために大きな権限と責任を持つ、非常に重要な役割を担う人です。安易に引き受けてトラブルになるケースもあれば、誰に頼んで良いか分からず困ってしまうケースもあります。この記事では、遺言執行者の役割や具体的な仕事内容、指定された場合の対応、そして報酬についてまで、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
遺言執行者とは?その重要な役割
遺言執行者とは、一言でいうと「遺言の内容を実現する責任者」です。亡くなった方(遺言者)の意思を、相続人に代わって法的な手続きを通じて実現するために、様々な権限が与えられています。
重要なのは、遺言執行者は、あくまで故人の意思を実現するための中立・公平な立場であるという点です。遺言執行者がいる場合、相続人は遺言の対象となった財産を勝手に処分したり、手続きを妨害したりすることは法律で禁じられています。
【チェックリスト】遺言執行者がやるべきこと
遺言執行者の仕事は多岐にわたり、専門的な知識と手間が必要です。主な職務内容をチェックリストで見ていきましょう。
- □ 就任の承諾と相続人への通知
まず、遺言執行者になることを引き受けるか(就任承諾)を決めます。就任を決めたら、遅滞なく全ての相続人に対して、自分が遺言執行者に就任したことと、遺言の内容を通知します。 - □ 相続人の調査・確定
戸籍謄本などを取り寄せて、法的な相続人が誰であるかを正確に確定させます。 - □ 相続財産の調査と財産目録の作成
預貯金、不動産、株式といったプラスの財産から、借金などのマイナスの財産まで、故人の財産をすべて調査し、「財産目録」を作成して相続人に交付します。
>>遺産の内容を調査して欲しい方はこちら - □ 遺言内容の執行(名義変更・解約など)
財産目録に基づき、遺言書の内容に従って具体的な手続きを進めます。- 預貯金の解約、払い戻し、相続人への送金
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 株式など有価証券の名義変更
- 自動車の名義変更
- 子の認知や相続人の廃除など、身分に関する届出(遺言書に記載がある場合)
- □ 相続人への業務完了報告
すべての手続きが完了したら、その経過と結果を相続人に報告します。
遺言執行者に指定されたらどうする?就任・辞任の方法
ご自身が遺言執行者に指定された場合、必ず引き受けなければならないわけではありません。
就任する場合
就任を承諾する場合、特に役所などへの届出は必要ありません。実際に遺言執行者としての職務(相続人への通知など)を開始すれば、就任したことになります。
辞退する場合
責任が重い、仕事が忙しい、他の相続人と揉めそう、といった理由で断ることも可能です。職務を開始する前であれば、相続人に辞退する旨を伝えれば問題ありません。しかし、一度就任して職務を開始した後に辞任する場合は、「病気で長期入院が必要」などの正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得なければならず、手続きは煩雑になります。
遺言執行者がいない場合や辞退された場合は?
遺言書に執行者の指定がない場合や、指定された人が辞退した場合は、利害関係人(相続人や受遺者など)が家庭裁判所に申し立て、新たに遺言執行者を選任してもらうことができます。この場合、公平な第三者である弁護士や司法書士などの専門家が選ばれることが一般的です。
遺言執行者の報酬について
遺言執行者には、その労力に見合った報酬を受け取る権利があります。
- 遺言書に報酬の記載がある場合:原則として、その記載に従います。
- 遺言書に記載がない場合:相続人全員との話し合いで決定します。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に報酬額を決めてもらうことも可能です。
- 報酬の相場:法律で明確な基準はありませんが、財産の額や手続きの複雑さに応じて、一般的には数十万円から、財産額の1%~3%程度が目安とされることが多いです。
なぜ遺言執行者を専門家(弁護士)に依頼すべきなのか
相続人の中から遺言執行者を指定することも可能ですが、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに手続きを進めるためには、専門家である弁護士に依頼することをお勧めします。
- 中立・公平な立場で円滑に手続きを進められる
相続人同士だと感情的な対立が生まれやすい場面でも、第三者である弁護士が間に入ることで、冷静かつ公平に手続きを進めることができます。
>>遺産の分け方で揉めている方はこちら - 法的に複雑な手続きも正確かつ迅速に行える
不動産の相続登記や、相続税の申告が必要な場合の税理士との連携など、専門知識が求められる手続きもスムーズです。 - 相続人の時間的・精神的な負担を大幅に軽減できる
平日の日中に行わなければならない銀行や役所での手続きなど、煩雑な作業をすべて任せることができます。
これから遺言書を作成される方も、残されたご家族の負担を減らし、ご自身の意思を確実に実現するために、予め弁護士を遺言執行者に指定しておくことを強くお勧めします。
>>希望の遺言書を作成したい方はこちら
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広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としている。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員