横須賀の皆様の相続のお悩みを解決!初回相談は無料です!

初回相談 0
電話受付:平日10:00〜18:00
メール24時間相談受付
046-854-4305
メールでの
お問合せ
LINEでの
お問い合わせ

遺留分と相続放棄の関係|遺留分権利者が相続放棄したら?

相続手続きにおいて、「遺留分侵害額請求」と「相続放棄」はどちらも相続人が選択しうる重要な権利ですが、その性質は全く異なり、両立することはありません。「遺言で自分の取り分が全くない。でも、親には借金もあるらしい。相続放棄をしても、遺留分だけはもらえるのだろうか?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃいます。

結論から申し上げると、相続放棄をした人は、遺留分を主張する権利も失います。この二つの制度は、相続に対する姿勢が根本的に異なるためです。この記事では、なぜ相続放棄をすると遺留分がなくなるのか、そして相続放棄があった場合に他の相続人の遺留分はどうなるのか、その法的な関係性について税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

「遺留分」と「相続放棄」の根本的な違い

両者の関係を理解するためには、それぞれの制度の目的を把握することが重要です。

  • 遺留分とは
    「相続人であること」を前提に、兄弟姉妹を除く法定相続人に保障された遺産の最低限の取り分を主張する権利です。遺言の内容にかかわらず、一定割合の財産を受け取る権利を確保するための制度です。
  • 相続放棄とは
    プラスの財産もマイナスの財産(借金など)も一切の遺産を引き継がないと家庭裁判所に申し立てる手続きです。相続放棄をした人は、法律上「初めから相続人ではなかった」ものとして扱われます。

このように、遺留分が「相続人」としての権利であるのに対し、相続放棄は「相続人」の地位そのものが無くなる手続きです。したがって、相続人の地位を放棄した以上、その相続人に保障されているはずの遺留分権も、その根拠を失い消滅するのです。

遺留分権利者が相続放棄をした場合の、他の相続人への影響

では、遺留分を持つ相続人の一人が相続放棄をした場合、残された他の相続人の遺留分にはどのような影響があるのでしょうか。答えは、「他の相続人の遺留分が増える場合がある」です。

前述のとおり、相続放棄をした人は「初めから相続人ではなかった」とみなされます。そのため、遺留分を計算する際の基礎となる法定相続人の頭数から除外されます。その結果、残った相続人一人ひとりの法定相続分が大きくなり、それに伴って遺留分の割合も増加するのです。

なお、母と子2人のケースで子1人が相続放棄したとしても子の遺留分は増えますが、母の遺留分はそのまま増えないというケースもあります。具体的な遺留分額算定については弁護士にご相談ください。

【具体例】子が相続放棄した場合

【設例】

  • 被相続人:父
  • 相続人:母、長男、次男の3名
  • 相続財産:6,000万円
  • 遺言:「全財産を長男に相続させる」

ケース1:誰も相続放棄をしない場合

この場合、次男が主張できる遺留分額は以下の通りです。

6,000万円 × 1/2(総体的遺留分) × 1/4(次男の法定相続分) = 750万円

ケース2:母が相続放棄をした場合

母が相続放棄をすると、相続人は長男と次男の2名になります。初めから相続人が子2人だけであったかのように計算します。

6,000万円 × 1/2(総体的遺留分) × 1/2(次男の法定相続分) = 1,500万円

このように、母が相続放棄をした結果、次男が請求できる遺留分額は750万円から1,500万円に増加します。

「遺留分の放棄」と「相続放棄」は違う

ここで注意が必要なのは、「相続放棄」と「遺留分の放棄」は全く別の手続きであるという点です。

  • 相続放棄:相続開始に、家庭裁判所で手続きを行う。プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がない。
  • 遺留分の放棄:相続開始に、家庭裁判所の許可を得て行う。遺留分という最低限の取り分だけを放棄するもので、相続権自体は失わない。したがって、遺言で財産が与えられれば受け取れるし、借金があればそれも法定相続分に応じて相続する。

「遺留分はいらないから、借金も相続したくない」という場合は、「遺留分の放棄」ではなく「相続放棄」を選択する必要があります。

遺留分放棄で相続トラブルは防げる?生前と相続後で手続きは違う?

当事務所は、皆様の複雑な相続問題を解決するために、他にはない強みを持っています。

  • ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
    1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。
  • ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
    相続問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。
  • ③グループ内で連携したワンストップサービス
    当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。

相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。

相続放棄をすべきか、それとも遺留分を請求すべきか。この判断は、相続財産の全体像(特に債務の有無)を正確に把握した上で、慎重に行う必要があります。相続放棄には「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」という期間制限もあります。どちらの選択がご自身にとって最善なのか、判断に迷われた場合は、手遅れになる前に、ぜひ一度、相続問題に精通した弁護士にご相談ください。

>>無料相談の流れはこちら

本記事は、令和7年9月10日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

この記事の執筆者
弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店 横須賀支店長・パートナー弁護士・税理士 中村 賢史郎
保有資格弁護士、税理士、司法書士有資格
専門分野相続事件・離婚事件・不動産事件・破産事件を主に取り扱う
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員