遺産分割調停の平均期間は1年?長期化させず、早期解決するためには

相続人同士の話し合いがまとまらず、家庭裁判所での「遺産分割調停」に臨むことになった。調停は、あくまで話し合いの手続きですが、裁判所が関与する以上、どのくらいの時間がかかるのか、見通しが立たずに不安に思う方は多いでしょう。「早くこの問題を終わらせて、新しい生活に進みたい」と、誰もが願うはずです。
遺産分割調停は、残念ながら数ヶ月で終わるような短い手続きではありません。しかし、ご自身の準備や進め方次第で、その期間を大きく短縮することは可能です。この記事では、遺産分割調停にかかる平均的な期間と、無用な長期化を避けて早期解決を目指すための5つの重要なポイントについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
遺産分割調停の平均期間と手続きの流れ
司法統計によれば、遺産分割調停が成立するまでの平均的な期間は、おおむね6ヶ月から1年程度です。中には、2年以上にわたって争いが続くケースも珍しくありません。
なぜ、これほど時間がかかるのでしょうか。それは、調停期日(裁判所で話し合いを行う日)が、約1ヶ月に1回程度のペースでしか開かれないためです。申立てから第一回目の期日までにも1ヶ月から2ヶ月程度かかるため、話し合いが数回続くだけで、半年や1年という時間はあっという間に過ぎてしまうのです。
調停が長期化してしまう主な原因
調停が1年以上にわたって長期化してしまうケースには、共通した原因があります。
- 感情的な対立が激しい:遺産分割の内容とは直接関係のない、過去の不満などを主張し合い、冷静な話し合いができない。
- 争点が多数ある:遺産の範囲、不動産の評価額、特別受益、寄与分など、複数の法的な論点が複雑に絡み合っている。
- 準備が不十分:主張を裏付ける証拠(預金履歴など)が揃っておらず、調停の期日のたびに「次回までに準備します」というやり取りが繰り返される。
調停を早期解決に導く5つのポイント
調停の長期化は、弁護士費用がかさむだけでなく、あなたの貴重な時間と精神的なエネルギーを奪います。早期解決のために、以下の5つのポイントを意識しましょう。
① 調停申立ての「前」に、財産調査と証拠収集を終える
最も重要なポイントです。調停を「話し合いを始める場」ではなく、「準備した主張と証拠を基に、最終的な合意形成をする場」と位置づけましょう。申立ての前に、遺産の全容を把握するための財産調査や、特別受益・寄与分などを主張するための証拠収集を、できる限り完了させておくことが、迅速な進行の鍵となります。
② 主張と証拠を「書面」で分かりやすく提出する
調停委員は、あなたの主張をその場で初めて聞くわけではありません。期日の前に、こちらの主張をまとめた「主張書面」や、証拠の写しを提出しておくことが極めて重要です。要点が整理された書面を事前に提出しておくことで、調停委員はあなたの主張を深く理解した上で期日に臨むことができ、密度の濃い、効率的な話し合いが可能になります。
③ 感情的な批判を避け、法的な主張に集中する
調停の場で、相手の人間性を批判したり、過去の不満を述べたりしても、何一つ良い結果は生まれません。調停委員が聞きたいのは、感情論ではなく、法的な根拠に基づいた主張です。常に冷静に、法的な観点からご自身の主張の正当性を説明することに徹しましょう。
④ 譲歩できるラインを決め、柔軟な姿勢で臨む
調停は、双方が少しずつ譲り合い、妥協点を見出すための手続きです。「自分の主張を100%通す」という硬直した姿勢では、調停はまとまりません。「これだけは譲れない」という核心部分と、「この点は譲歩しても良い」という部分をあらかじめ決めておくことで、現実的な解決案を探る姿勢を調停委員に示すことができます。
⑤ 交渉のプロである弁護士に依頼する
上記のポイントを、ご自身一人で実践するのは至難の業です。相続問題に精通した弁護士に依頼すれば、法的な主張の組み立て、効果的な証拠の提出、そして相手方との交渉戦略まで、全てを代理人として遂行します。専門家が介入することが、結果的に最も早く、かつ、あなたにとって有利な解決につながるのです。
虎ノ門法律経済事務所 横須賀支店の強み
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
相続問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。 - ③グループ内で連携したワンストップサービス
当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
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>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年8月12日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員