遺産分割協議がまとまらない…次の手段「調停」「審判」とは?流れと費用を解説

遺産分割協議がまとまらない…次の手段「調停」「審判」とは?流れと費用を解説
「相続人同士で何度も話し合いを重ねたけれど、どうしても遺産の分け方で合意できない」「特定の相続人が感情的になってしまい、冷静な話し合いにならない」
横須賀エリアにお住まいの方からも、遺産分割協議が行き詰まってしまったというご相談が多く寄せられます。この状態を放置すると、預貯金の解約や不動産の名義変更などが一切できず、相続財産が「塩漬け」になってしまいます。このような膠着状態を打開するための法的な手続きが、家庭裁判所で行う「遺産分割調停」と「遺産分割審判」です。この記事では、話し合いがまとまらない場合の次のステップである「調停」「審判」について、その流れや費用、メリット・デメリットを税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
まずは「遺産分割調停」から。話し合いでの解決を目指す手続き
遺産分割で揉めた場合、訴訟になるわけではありません。家庭裁判所で、話し合いによる解決を目指す「遺産分割調停」を行うのが原則です。
遺産分割調停の流れ
- 家庭裁判所への申立て
被相続人(亡くなった方)の住所地を管轄する家庭裁判所に、遺産分割調停の申立書を提出します。 - 調停期日の決定・呼出し
申立てから約1~2ヶ月後に、第1回の調停期日が設定され、相続人全員に裁判所から呼出状が届きます。 - 調停での話し合い
調停は、裁判官と民間から選ばれた2名以上の調停委員が間に入って進行します。当事者同士が直接顔を合わせて言い争うのではなく、それぞれが別室で待機し、調停委員が交互に部屋を行き来して意見を調整する形式で進むのが一般的です。そのため、相手と顔を合わせたくない場合でも安心して臨めます。調停は1回で終わることは稀で、通常は1ヶ月に1回程度のペースで期日を重ねていきます。 - 調停成立、または不成立
話し合いがまとまり、全員が合意すれば「調停成立」となります。合意内容は「調停調書」という公的な書面に記載され、判決と同じ強い効力を持ちます。一方、話し合いを尽くしても合意の見込みがない場合は「調停不成立」となり、手続きは自動的に次の「審判」へと移行します。
※審判で解決することが難しいケースでは審判に移行しない場合もありますのでご注意ください。
遺産分割調停のメリット
- 中立な第三者が間に入るため、感情的な対立を避け、冷静な話し合いがしやすくなる。
- 当事者同士が顔を合わせずに済むため、精神的な負担が少ない。
- 平日の日中に行われ、非公開なのでプライバシーが守られる。
- 合意内容が記載された「調停調書」の条項には法的な強制力があるものもある。
遺産分割調停にかかる費用
- 実費:申立てに必要な収入印紙代(被相続人1人につき数千円)と、裁判所からの連絡に使う郵便切手代(数千円程度)です。
- 弁護士費用:弁護士に代理人を依頼する場合に別途発生します。
「遺産分割審判」とは?裁判官が判断を下す手続き
調停が不成立に終わった場合、審判により解決が可能な事件は自動的に「遺産分割審判」に移ります。審判は、調停のような「話し合い」の場ではありません。各相続人からの主張や提出された証拠(不動産の査定書、預金通帳の履歴など)に基づき、裁判官が一切の事情を考慮して、法的に最も妥当と判断する分割方法を決定(審判)する手続きです。審判で下された決定(審判書)は、調停調書と同様に法的な強制力を持ち、この内容に従って遺産分割を行うことになります。
なぜ弁護士に依頼すべきなのか?調停・審判を有利に進めるために
調停や審判はご自身で進めることも可能ですが、法律の専門家である弁護士に依頼することで、多くのメリットが得られます。
- 法的に有利な主張を組み立てられる
あなたの希望を、法律のルールと証拠に基づいて説得力のある形で主張します。「兄だけ生前に多額の援助を受けていた(特別受益)」「この不動産の評価額はおかしい」といった主張も、法的な根拠をもって行うことが重要です。
>>特別受益とは?詳しくはこちら >>不動産の評価額について折り合いがつかない場合はこちら - 煩雑な手続きや書類作成をすべて任せられる
申立書の作成、戸籍謄本や財産資料の収集、裁判所に提出する書面の作成など、時間と手間のかかる作業をすべて代行します。 - 精神的な負担が大幅に軽減される
親族と直接対立するストレスから解放され、冷静に対応できます。特に、相手方が弁護士を立ててきた場合は、ご自身も弁護士を代理人に立てなければ、交渉力に大きな差が生まれてしまいます。
>>他の弁護士から手紙が届いた方はこちら
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広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としている。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員