遺産分割で親族を代理人に立てるリスクと注意点|弁護士との違い

遺産分割協議で他の相続人と対立してしまい、ご自身で交渉するのが精神的につらい。あるいは、法律に詳しくないため、どう主張すれば良いか分からない。そんなとき、「交渉が得意な自分の夫に代理人になってもらおう」「しっかり者の叔父に間に入ってもらおう」と、ご自身の親族を代理人に立てることを考える方がいらっしゃいます。
しかし、良かれと思って頼んだ親族の代理人が、かえって事態を悪化させ、問題をこじらせてしまうケースは少なくありません。この記事では、遺産分割協議で親族を代理人に立てることの法的なルールと、そこに潜む3つの大きなリスクについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
親族は代理人になれる?法律上のルール
まず、法律上のルールとして、弁護士法は、報酬を得る目的で、紛争性のある法律事務(遺産分割交渉など)の代理人となることを、弁護士以外の者に禁じています(非弁行為)。
したがって、親族があなたの代理人となることは、あくまで無報酬(ボランティア)で行う場合にのみ、法律上許されます。もし謝礼などを支払うと、非弁行為として違法になる可能性があるため、注意が必要です。
親族を代理人に立てる3つの大きなリスク
たとえ無報酬で法律上問題がなくても、親族を代理人とすることには、以下のような、解決を遠のかせる大きなリスクが伴います。
リスク1:法律知識の不足で、不利な条件で合意してしまう
最大のリスクです。あなたの代理人である親族は、相続法の専門家ではありません。特別受益や寄与分、遺留分といった、あなたの正当な権利を見過ごしてしまったり、相手方の法的に誤った主張にうまく反論できなかったりする可能性があります。その結果、本来あなたが受け取れたはずの財産を、みすみす手放すことになりかねません。
リスク2:感情的な対立が激化し、問題をこじらせる
身内が代理人として登場することで、他の相続人は「仲間を連れてきて、こちらを攻撃する気か」と、かえって態度を硬化させてしまうことがあります。また、代理人となった親族自身も、元々の家族関係からくる感情や思い込みに引きずられ、冷静な交渉ができず、争いをさらに大きくしてしまうケースが少なくありません。
リスク3:権限の範囲が曖昧で、新たなトラブルを生む
「どこまで任せるか」という権限の範囲が曖昧なまま交渉を始めると、「そんな条件で合意するなんて聞いていない」と、後からあなたと代理人である親族との間で新たなトラブルが発生する可能性があります。弁護士であれば委任契約で明確に定めますが、親族間ではそうした取り決めが疎かになりがちです。
なぜ「弁護士」に依頼すべきなのか?親族代理人との決定的違い
弁護士は、単に法律知識が豊富なだけではありません。弁護士が代理人となることの決定的な強みは、その「客観性と専門性」にあります。
- 感情を排した冷静な交渉:弁護士は、あなたの家族の歴史や感情的なしがらみから一歩引いた立場で、法的な争点に絞って冷静に交渉を進めます。
- 対等な交渉力:相手方が弁護士を立ててきた場合でも、対等な立場で、法に基づいた交渉ができます。
- 法的権限の行使:必要であれば、遺産分割調停や審判といった法的手続きに、あなたの代理人として正式に参加できます。
親族を代理人に立てることは、例えるなら、家族に手術を任せるようなものです。大切な問題だからこそ、専門の技術と知識を持ったプロフェッショナルに任せるべきなのです。
虎ノ門法律経済事務所 横須賀支店の強み
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
相続問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。 - ③グループ内で連携したワンストップサービス
当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。
相続の話し合いがご自身で難しいと感じたとき、頼るべきは親族ではなく、法律と交渉のプロである弁護士です。親族を代理人に立てて関係をこじらせてしまう前に、まずは一度、私たちにご相談ください。あなたの正当な権利を守り、円満な解決を実現するための、最も確実な道筋をご提案します。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年8月11日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員