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親の介護は「寄与分」として認められる?認められるケースと金額の相場について

「長年、親の介護を一身に背負ってきたのに、他の兄弟と相続分が同じなのは納得できない…」
「私が仕事を辞めて介護した分を、遺産分割で考慮してもらえないだろうか?」
「『寄与分』という制度があると聞いたけれど、自分のケースは認められるの?」

ご親族が亡くなり、遺産分割の話し合いになったとき、被相続人(亡くなった方)の生前の療養看護に尽くしてきた方ほど、このようなやるせない思いや疑問を抱えることは少なくありません。

ご自身の時間を犠牲にし、精神的・肉体的に大きな負担を乗り越えてきた介護の貢献が、法律上まったく評価されないとすれば、それはあまりにも不公平です。

こうした不公平を是正するために、民法には「寄与分」という制度が設けられています。この制度を正しく理解し、適切に主張することで、あなたの貢献に見合った財産を受け取れる可能性があります。

この記事では、どのような場合に親の介護が「寄与分」として認められるのか、金額の相場や計算方法、そして具体的な主張のステップまで、相続問題に精通した税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

そもそも「寄与分」とは?

「寄与分」とは、共同相続人の中に、被相続人の財産の維持または増加について「特別の寄与」をした人がいる場合に、その貢献分を法定相続分に上乗せして受け取ることができる制度です(民法904条の2)。

簡単に言うと、「故人の財産を維持・増加させるために特別な貢献をした相続人は、その分、他の相続人より多くの遺産をもらえる」という仕組みです。

寄与分が認められると、遺産の総額からまず寄与分を差し引き、残った財産を相続人全員で分け合います。そして最後に、寄与分を主張した相続人が、算定された寄与分額を上乗せで受け取ることになります。

親の介護が「寄与分」として認められるための5つの要件

「親の介護をした」という事実だけで、自動的に寄与分が認められるわけではありません。療養看護(介護)を理由とする寄与分が認められるには、裁判実務上、主に以下の5つの要件を総合的に満たす必要があるとされています。

  1. 特別な貢献であること
    親族間には互いに助け合う扶養義務があります。そのため、一般的な親子の関わりの範囲を超えた、 「特別な」貢献であったことが必要です。例えば、子が親の様子をたまに見に行く、時々身の回りの世話をするといった程度では、「特別」とは認められにくいでしょう。
  2. 無償またはそれに近いこと
    介護の対価として、被相続人から給料や十分な生活費の援助を受けていなかったことが重要です。もし相応の報酬を受け取っていた場合、それは「雇用契約」とみなされ、寄与分は認められません。
  3. 継続的であること
    介護がある程度の長期間にわたって行われている必要があります。どのくらいの期間があれば良いという明確な基準はありませんが、数週間や数ヶ月といった短期間では認められにくく、年単位での貢献が考慮される傾向にあります。
  4. 専従的であること
    「片手間」ではなく、介護に多くの時間を費やしていることが求められます。例えば、介護のために仕事を辞めた、勤務時間を大幅に減らした、遠距離介護のために頻繁に往復していたなど、自身の生活に大きな影響が出るほどの負担があったかどうかがポイントになります。
  5. 財産の維持・増加との関連性
    あなたの介護によって、本来であれば支払うはずだったヘルパー代や施設利用料などが節約され、結果として被相続人の財産が維持された(減らなかった)という関係が必要です。

これらの要件を満たしているかどうかが、寄与分を主張する上での大きな鍵となります。

寄与分はいくらになる?金額の計算方法と相場

寄与分の金額は、まず相続人間の話し合いで決めますが、まとまらない場合は家庭裁判所が決定します。その際、裁判所が参考にすることが多い計算方法は以下の通りです。

寄与分 = 介護の日当額 × 介護日数 × 裁量割合

  • 介護の日当額
    介護保険制度における介護報酬基準額などが参考にされます。要介護度に応じて一日あたり5,000円~10,000円程度を日当の目安とすることが多いですが個別具体的な事案によって異なります。
  • 介護日数
    実際に介護に従事した日数を基に計算します。
  • 裁量割合
    これが非常に重要な要素です。相続人は介護のプロではないことや、親族間の扶養義務の側面も考慮されるため、上記で計算した金額から一定の割合が差し引かれます。これにより、最終的な寄与分額が調整されます。

例えば、日当8,000円で3年間(1095日)介護し、裁量割合が0.7とされた場合、
8,000円 × 1,095日 × 0.7 = 613万2,000円 が寄与分の目安額となります。

寄与分を主張するための具体的なステップと証拠

寄与分を認めてもらうためには、感情論ではなく、客観的な証拠に基づいて冷静に主張することが不可欠です。

ステップ1:遺産分割協議で主張する
まずは、相続人全員で行う遺産分割協議の場で、ご自身の貢献内容と希望する寄与分額を具体的に主張します。

ステップ2:遺産分割調停・審判で主張する
協議で他の相続人の合意が得られない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立て、調停委員を交えて話し合いを行います。調停でも合意に至らなければ、最終的には裁判官が判断する「審判」手続きに移行します。
>>遺産の分け方で揉めている

主張を裏付けるための重要な証拠

寄与分を法的に認めてもらうには、あなたの貢献を客観的に証明する証拠が何よりも重要です。以下のような資料を、できるだけ詳細に集めておきましょう。

  • 介護の具体的な状況がわかる資料
    • 介護日誌、ご自身で作成した日記等
    • 被相続人の診断書、カルテ、要介護認定通知書
  • 財産の維持・増加への貢献を示す資料
    • 本来かかったであろう介護サービス費用の見積書
    • あなたが立て替えた医療費や介護用品費の領収書
  • 第三者の証明
    • ケアマネージャーやヘルパー、親族など、介護の状況を知る第三者の陳述書

【補足】相続人以外の親族の貢献は「特別寄与料」

2019年の民法改正により、相続人ではない親族(例:長男の妻、子の配偶者など)が被相続人の介護に尽くした場合も、その貢献に報いるための制度が新設されました。

これを「特別寄与料」といい、貢献した親族は、相続人に対して金銭の支払いを請求することができます。ご自身が相続人ではない立場で介護を担ってこられた場合は、こちらの制度の利用を検討することになります。

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虎ノ門法律経済事務所に是非ご相談ください。

長年にわたる親の介護が「寄与分」として金銭的に評価される可能性は十分にあります。しかし、そのためには「親族間の扶養義務を超える特別な貢献」であったことを、客観的な証拠をもって証明するという高いハードルを越えなければなりません。

寄与分の主張は、他の相続人から「親の面倒を見るのは当たり前」「お金目当てか」といった反発を招きやすく、感情的な対立に発展しやすいデリケートな問題でもあります。

ご自身の貢献が正当に評価されるためにも、また、無用な争いを避けるためにも、遺産分割の話し合いを始める前に、一度弁護士にご相談ください。法的な観点からあなたの状況を分析し、寄与分が認められる可能性や見込み額、適切な主張方法について具体的なアドバイスを提供します。
>>無料相談の流れ

この記事の執筆者
弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店 横須賀支店長・パートナー弁護士・税理士 中村 賢史郎
保有資格弁護士、税理士、司法書士有資格
専門分野相続事件・離婚事件・不動産事件・破産事件を主に取り扱う
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員
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