相続人ではない親族が口出ししてくる!遺産分割協議での正しい対処法

遺産分割協議を兄弟姉妹で進めていると、その配偶者(兄嫁や、妹の夫など)が話し合いの場に同席し、「夫の取り分が少ないのではないか」「もっともらう権利があるはずだ」などと、口を出してきて、協議が滞ってしまう。これは、相続トラブルで非常によくある悩ましい状況です。
相続人ではない人に、遺産の分け方について口出しする権利はあるのでしょうか。このような状況で、どのように対応すれば、話をこじらせずに円満な解決を目指せるのでしょうか。この記事では、相続人ではない親族が遺産分割協議に介入してくる場合の、法的な考え方と具体的な対処法について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
大原則:遺産分割協議に参加できるのは「法定相続人」だけ
まず、法律上の大原則を、はっきりと理解しておく必要があります。それは、遺産分割協議に参加し、遺産の分け方について意見を述べ、最終的に遺産分割協議書に署名・押印する権利を持つのは、「法定相続人」だけである、ということです。
たとえ、長年連れ添った配偶者であっても、法定相続人である「本人」の代わりに、遺産分割協議に参加する法的な権利は一切ありません。彼らは、法律上は「部外者」です。したがって、相続人の配偶者や、その他の親族の意見に、法的な拘束力は全くありません。
なぜ口出しをしてくるのか?その背景と心理
では、なぜ相続人ではない人が口を出してくるのでしょうか。その背景には、「自分の配偶者の利益を守りたい」「自分たちの家族の将来の生活がかかっている」といった、強い当事者意識があります。悪気があるというよりは、自分の家族を守りたいという気持ちが、過度な介入につながっているケースがほとんどです。
口出ししてくる親族への3ステップ対処法
このような状況に陥った場合、感情的に「部外者は口を出すな!」と反発しても、関係が悪化するだけです。以下の3つのステップで、冷静かつ毅然と対応しましょう。
ステップ1:相続人本人に、境界線を明確にするよう伝える
まず、対応すべき相手は、口を出してくる配偶者ではなく、その配偶者を制止できない、相続人本人です。その相続人本人に対し、「遺産分割協議は、法律上、相続人である私たち兄弟姉妹で行うべき大切な話し合いです。ご配偶者のお気持ちは分かりますが、協議の場での発言は控えていただくよう、あなたからお伝えください」と、丁寧かつ明確に境界線を引くことを求めましょう。
ステップ2:当事者以外とは話さない、という毅然とした態度を示す
それでもなお、相続人ではない人が協議の場で発言を続ける場合は、「申し訳ありませんが、その件については、相続人である〇〇さん(相続人本人)のお考えをお聞かせください」というように、一貫して「相続人本人」との対話を求める姿勢を崩さないことが重要です。決して、相続人ではない人と議論を戦わせてはいけません。
ステップ3:弁護士を代理人に立てる、または調停を申し立てる
当事者同士での解決が難しい場合、最終的には、法的な手続きに移行するのが最も確実です。
- 弁護士を代理人にする:あなたが弁護士に依頼すれば、弁護士は交渉の窓口を、相手方の相続人本人(またはその代理人弁護士)に限定します。相続人ではない配偶者からの連絡には、一切応じる必要がなくなります。
- 遺産分割調停を申し立てる:家庭裁判所での調停では、参加できるのは原則として相続人とその代理人弁護士だけです。調停委員という中立な第三者のもと、法的なルールに則った、冷静な話し合いを進めることができます。
虎ノ門法律経済事務所 横須賀支店の強み
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
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遺産分割協議に相続人ではない親族が介入してくると、話し合いは感情論に陥り、本来解決すべき法的な問題から、どんどん話が逸れていってしまいます。そうなる前に、専門家である弁護士に交渉の舵取りを任せるのが、賢明な判断です。私たちは、あなたの代理人として、法的なルールに基づき、交渉のテーブルを正しく設定し直します。どうぞお気軽にご相談ください。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年8月11日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員