相続人が遠方にいる場合、遺産分割協議はどう進める?4つの解決策

相続が発生したものの、相続人である兄弟姉妹が、それぞれ遠方の都道府県や海外に住んでいて、一堂に会するのが難しい。遺産分割協議は、相続人全員の参加が必須と聞くけれど、どうやって話し合いを進めれば良いのか。このような、物理的な距離が原因で、相続手続きが滞ってしまうケースは非常に多くあります。
しかし、ご安心ください。法律や現代のツールは、相続人全員が同じ場所に集まることなく、有効な遺産分割協議を成立させるための、いくつかの方法を用意しています。この記事では、遠方の相続人がいる場合の遺産分割協議の具体的な進め方と、それぞれの方法のメリット・注意点について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
大原則:相続人全員の参加が必須
まず、大原則として、遺産分割協議は法定相続人全員が参加し、全員が合意しなければ法的に有効となりません。たとえ遠方に住んでいて連絡が取りづらくても、その相続人を除外して手続きを進めることは絶対にできません。この原則を踏まえた上で、以下の方法を検討します。
遠方の相続人と協議を進める4つの方法
遠方の相続人と協議を進めるには、主に4つの方法があります。
方法1:電話やウェブ会議システムで話し合う
最も手軽で、現代的な方法です。電話はもちろん、ZoomやGoogle Meet、LINEのビデオ通話などのウェブ会議システムを利用すれば、遠方にいても顔を見ながら、リアルタイムで協議を行うことができます。海外在住の相続人がいる場合にも有効です。協議内容を録音・録画しておくことで、後の「言った・言わない」のトラブルを防ぐこともできます。
方法2:郵送の「持ち回り」で協議書に署名・押印する
話し合いがまとまった後、その合意内容を記した「遺産分割協議書」に、相続人全員が署名と実印の押印をする必要があります。この際に用いられるのが、郵送による「持ち回り」です。
代表相続人が協議書を作成し、まず署名・押印します。次に、その書類を遠方の相続人へ郵送し、署名・押印してもらいます。そして、その相続人がさらに次の相続人へ…というように、リレー形式で郵送していく方法です。時間はかかりますが、伝統的で確実な方法です。
方法3:「遺産分割協議証明書」を活用する
持ち回り署名の時間的なデメリットを解消するのが、この方法です。これは、相続人全員が一つの書類に署名するのではなく、各相続人が「私は、この遺産分割協議の内容に同意します」という内容の証明書を、各自で作成・署名・押印する方式です。
代表相続人が協議内容のデータを全員に送り、各自が印刷・署名・押印して返送すればよいため、同時並行で作業を進められ、手続きを大幅にスピードアップできます。相続人の数が多く、各地に散らばっている場合に特に有効です。
方法4:弁護士などの「代理人」を立ててもらう
遠方の相続人が、高齢であったり、手続きに詳しくなかったりして、協議への参加自体が難しい場合もあります。そのような場合は、その相続人に、信頼できる他の相続人や、専門家である弁護士を「代理人」として立ててもらう方法があります。代理人を立てるには、その相続人からの「委任状」が必要です。弁護士が代理人となれば、法的な観点から本人の利益を守りつつ、他の相続人との間で円滑に協議を進めることができます。
虎ノ門法律経済事務所 横須賀支店の強み
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
相続問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。 - ③グループ内で連携したワンストップサービス
当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。
相続人が遠方にいるという物理的な問題は、相続手続きを遅らせる大きな要因となります。しかし、今回ご紹介したように、解決策は一つではありません。私たち弁護士にご相談いただければ、あなたの状況に合わせた最も効率的で、法的に確実な手続きの進め方をご提案します。代表相続人として手続きの負担を抱えている方、あるいは遠方にお住まいで手続きへの参加にお困りの方、どちらの立場の方も、まずはお気軽にご相談ください。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年8月11日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員