相続で疎遠だった親族への連絡方法。トラブルを避ける最初の一歩

相続手続きのために戸籍を遡って調査した結果、会ったこともない、あるいは何十年も音信不通だった叔父や甥、異母兄弟などが相続人であることが判明した。遺産分割協議を進めるためには、これらの疎遠な親族にも連絡を取り、話し合いに参加してもらう必要があります。
しかし、「いきなり連絡して、どう思われるだろうか」「何を、どのように伝えれば良いのか分からない」「警戒されて、トラブルになるのではないか」。こうした不安を感じるのは当然のことです。実は、この「最初の一歩」の踏み出し方こそが、その後の遺産分割協議が円滑に進むか、紛争に発展するかの大きな分かれ道となります。この記事では、疎遠な親族への正しい連絡方法と、トラブルを避けるための注意点について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
なぜ、疎遠な親族にも連絡が必須なのか?
まず、大前提として、たとえどれだけ疎遠であっても、法律上の相続人である以上、その人を抜きにして行った遺産分割協議は法的に「無効」です。後からその相続人が現れて権利を主張すれば、全ての話し合いをやり直さなければなりません。無視するという選択肢は、絶対にとれないのです。
手紙に記載すべき内容と、伝えるべき誠意
弁護士から送付する手紙には、単に連絡を求めるだけでなく、相手の不安を取り除き、信頼を得るための情報を記載します。
- 自己紹介と、相続が発生した事実の通知(誰が、いつ亡くなったか)
- 戸籍調査の結果、あなたが法定相続人であることが判明した経緯
- 遺産分割協議を行う必要があるため、ご連絡を差し上げた旨
- こちらで把握している相続財産の一覧(財産目録)の提示
- 今後の話し合いに向けて、ご意向をお伺いしたい旨
特に重要なのが4番です。最初にこちらから財産状況を全てオープンにすることで、「財産を隠しているのではないか」という相手の疑念を晴らし、透明性のある話し合いの土台を築くことができます。
トラブルを招くNGな連絡方法
以下のような方法は、相手の不信感を煽り、問題をこじらせる原因となるため、絶対に避けるべきです。
- 前置きもなく、いきなり電話や訪問をする
- 「遺産分割協議書に実印を押してください」と、一方的に書類を送りつける
- 財産の一部を隠したまま、少ない遺産額で合意を迫る
- 「あなたは疎遠だったのだから、相続分は少なくて当然だ」といった、感情的な主張をする
弁護士を通じて手紙を出すという方法も検討すべき
疎遠な親族への最初の連絡方法として、いきなり電話をかけたり、訪問したりするのは避けるべきです。相手も突然のことで驚き、警戒心を抱いてしまい、感情的な対立を招きかねません。
選択肢として、専門家である弁護士を代理人として、正式な書面(手紙)で連絡を取る方法もあります。これには、以下のような大きなメリットがあります。
- 事態の重要性が伝わる:弁護士事務所からの手紙であれば、相手もこれが正式な法的手続きであることを理解し、真摯に対応しようという気持ちになります。
- 冷静な対応を促せる:手紙であれば、相手も一度冷静になって内容を読み、考える時間を持つことができます。感情的な応酬を避ける効果があります。
- こちらの誠意を示せる:専門家を立てて、法的に正しく手続きを進めようとしている、という誠実な姿勢を示すことができます。
虎ノ門法律経済事務所 横須賀支店の強み
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
相続問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。 - ③グループ内で連携したワンストップサービス
当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。
疎遠だった親族との相続協議は、法律の知識はもちろん、相手の心情に配慮した、極めて高度なコミュニケーション能力が求められます。最初のボタンを掛け違えると、解決までに何年もの歳月と、多大な費用、そして精神的な苦痛を伴うことになりかねません。円満かつ迅速な解決のため、この「最初の一歩」から、ぜひ私たち専門家にお任せください。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年8月11日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員