相続で揉めたら…兄弟間のメールやLINEは「証拠」になる?

相続の話し合いがこじれ、兄弟姉妹とのやりとりが電話や直接の会話から、メールやLINE(ライン)へと移行することは、現代ではごく当たり前の光景です。感情的な言葉の応酬や、重要な事実についてのやりとりが、メッセージとして文字で残っている方も多いのではないでしょうか。
では、もし遺産分割協議がまとまらず、家庭裁判所での調停や審判に発展した場合、こうしたメールやLINEのやりとりは、法的な「証拠」として通用するのでしょうか。この記事では、デジタルメッセージが相続トラブルにおいてどのような証拠となり得るのか、そして、それを証拠として活用するための正しい方法と注意点について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
結論:メールやLINEも、法的に有効な「証拠」になる
まず、明確な結論から申し上げます。相続人同士で交わされたメールやLINEのメッセージも、家庭裁判所における調停や審判において、法的に有効な証拠となり得ます。
裁判所が証拠として重視するのは、その内容が事実を証明する力を持っているかどうかであり、それが紙の文書か、デジタルのメッセージかという形式は問いません。むしろ、送信日時や相手の発言が明確に残るデジタルデータは、客観性の高い証拠として扱われることが増えています。
メールやLINEが証拠として役立つ具体的なケース
具体的に、どのような場面でメールやLINEのやりとりが有効な証拠となるのでしょうか。
①「特別受益」を証明するケース
他の相続人が生前に多額の援助を受けていた(特別受益)ことを、相手が認める発言をしている場合に、そのメッセージが証拠となります。
例:「家の頭金を出してもらったのは事実だけど、あれは親が勝手にしてくれたことだ」
②「寄与分」を証明するケース
ご自身が、亡くなった親の介護などに貢献していた事実を、他の兄弟が認識していたことを示す証拠になります。
例:「いつもお母さんの病院の付き添い、ありがとう。助かります」
③「財産隠し」や「使い込み」を証明するケース
他の相続人が、遺産の一部を管理していることを認める発言などが証拠となります。
例:「親父の通帳は、とりあえず俺が全部預かっておくから」
メッセージを証拠として提出するための正しい方法
メールやLINEのやりとりを証拠として裁判所に提出する際は、以下の手順を踏むのが一般的です。
- 証拠を保全する(削除しない):言うまでもありませんが、重要なやりとりは絶対に削除せず、保管しておきましょう。
- 日付や相手が分かるようにスクリーンショットを撮る:メッセージの内容だけでなく、「誰が」「いつ」発言したかが明確に分かるように、相手の名前やアイコン、メッセージの送受信日時が入った状態でスクリーンショットを撮影します。
- 印刷して、書面として提出する:撮影したスクリーンショットを紙に印刷し、他の書面証拠と同様に、裁判所に提出します。
要注意:ご自身の発言も「証拠」になるという意識を
相手のメッセージが証拠になるということは、当然、ご自身の送信したメッセージも、相手方にとっての証拠になるということです。感情に任せて、相手を罵倒したり、脅迫めいた言葉を送ったりすれば、それはそのままあなたの品位や人格が問われる不利な証拠として、裁判所に提出されてしまいます。
相続の話し合いでメッセージを送る際は、「これは全て裁判官に見られる可能性がある」という意識を持ち、常に冷静で、論理的なコミュニケーションを心がけましょう。話がこじれそうな場合は、ご自身で対応するのをやめ、弁護士に交渉を依頼するのが賢明です。
虎ノ門法律経済事務所 横須賀支店の強み
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
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相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。
メールやLINEの膨大なやりとりの中から、法的に何が重要で、何が不利益になりうるのかを判断し、それを有効な主張に組み立てるには、高度な専門知識が要求されます。私たち弁護士にご相談いただければ、あなたの手元にあるメッセージ履歴を精査し、有利な証拠を的確に抽出し、あなたの正当な権利を守るための主張を組み立てます。感情的な争いに疲弊する前に、まずは一度、ご相談ください。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年8月11日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員