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相続した不動産の売却でかかる税金は?特例で節税できる「取得費加算」と「3,000万円控除」とは?

「親から相続した実家、誰も住む予定がないから売却したい」
「不動産を売却すると、高額な税金がかかると聞いて心配…」
「節税できる特例があると聞いたけど、自分も使えるのだろうか?」

このように、相続した不動産の売却を考えたとき、多くの方が税金に関する不安や疑問を抱えます。せっかく大切な財産を受け継いでも、売却時に多額の税金を納めることになっては、「こんなはずではなかった」と後悔しかねません。

しかし、ご安心ください。相続した不動産の売却には、税金の負担を大幅に軽減できる特例制度が用意されています。ポイントは「取得費加算の特例」「空き家の3,000万円特別控除」という2つの制度を正しく理解し、ご自身の状況に合わせて活用することです。

この記事では、相続不動産の売却にまつわる税金の基本から、節税に繋がる2つの特例の適用要件や注意点まで、相続問題に詳しい税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

相続不動産の売却時にかかる税金の種類

まず、相続した不動産を売却した際に、どのような税金がかかるのか全体像を把握しておきましょう。主に「譲渡所得税」「登録免許税」「印紙税」の3つが関係します。

1. 譲渡所得税(所得税・住民税)

不動産を売却して得た利益(これを「譲渡所得」といいます)に対してかかる税金で、所得税と住民税を合わせて「譲渡所得税」と呼ばれます。これが、売却時にかかる税金の中心となります。

2. 登録免許税(相続登記)

相続した不動産を売却するためには、その前提として、不動産の名義を亡くなった方(被相続人)からご自身(相続人)へ変更する「相続登記」の手続きが必須です。この相続登記を法務局に申請する際に納める税金が「登録免許税」です。

税額は、「不動産の固定資産税評価額 × 0.4%」で計算されます。これは売主である相続人が負担する税金です。

3. 印紙税

不動産の売買契約書を作成する際に、契約書に記載された金額に応じて収入印紙を貼り付けて納める税金です。例えば、売却価格が1,000万円超5,000万円以下の場合、1万円の印紙税がかかります(2027年3月31日までの軽減措置)。

この中で最も重要かつ高額になる可能性が高いのが「譲渡所得税」です。次の項目で、その計算方法を詳しく見ていきましょう。

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は、以下の計算式で算出します。

譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)
課税譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率

取得費とは?

「取得費」とは、亡くなった方(被相続人)がその不動産を購入したときの代金や手数料のことです。相続した不動産の場合、ご自身が取得したときの価格ではなく、被相続人が取得したときの価格を引き継ぐのがポイントです。

もし、購入時の売買契約書などが見当たらず取得費が不明な場合は、「売却価格の5%」を取得費とみなすルール(概算取得費)がありますが、実際の購入価格より大幅に低くなることが多く、税金が高額になる可能性があるため注意が必要です。

譲渡費用とは?

「譲渡費用」とは、不動産を売却するために直接かかった費用のことです。具体的には、不動産会社に支払った仲介手数料や、建物の解体費用などが該当します。

税率について

税率は、不動産の所有期間によって異なり、被相続人の所有期間を引き継いで計算します。

  • 長期譲渡所得(所有期間が5年超):約20%(所得税15%、住民税5%)
  • 短期譲渡所得(所有期間が5年以下):約39%(所得税30%、住民税9%)

親から長年所有していた実家を相続した場合などは、ほとんどが長期譲渡所得に該当します。

【節税の要①】相続税額の取得費加算の特例

ここからが本題の節税特例です。まず一つ目は、納めた相続税の一部を不動産の取得費に加算できる「取得費加算の特例」です。

取得費が増えることで、計算上の利益(譲渡所得)が減り、結果として譲渡所得税を節税できる仕組みです。

適用要件

この特例を使うには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 相続または遺贈により財産を取得した者であること。
  • その財産を取得した人に相続税が課されていること。
  • その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

つまり、「相続税を納めており、かつ相続開始から3年10ヶ月以内に売却する」ことが条件です。相続税がかからなかった方や、売却までに時間がかかりすぎた場合は利用できません。

さらに詳しく調べたい場合は国税庁のサイトを参照ください。
>>No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

【節税の要②】空き家の3,000万円特別控除

もう一つの強力な特例が、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、通称「空き家特例」です。

これは、一定の要件を満たす相続した空き家を売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できるという非常に大きなメリットを持つ制度です。

主な適用要件

この特例は、適用要件が非常に細かく定められています。主なものを以下に挙げます。

  • 被相続人が亡くなる直前まで一人で居住していた家屋であること。
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(旧耐震基準の建物)。
  • 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること。
  • 売却代金が1億円以下であること。
  • 家屋を取り壊して更地で売るか、または耐震リフォームをして売ること。(そのままの状態では適用できません)

特に、耐震基準や売却時の状態に関する要件は注意が必要です。また、マンションなどの区分所有建物は対象外となります。

なお、令和6年度(2024年1月1日以降)の税制改正により、家屋の取壊し要件が緩和されています。具体的には、売却後に買主が耐震リフォームや建物の取り壊しを行う場合でも、本特例の適用が可能になりました。

詳細な要件については国税庁のサイトをご確認ください。
>>No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

2つの特例は併用できる?どちらを選ぶべき?

節税効果の大きい2つの特例ですが、残念ながら1つの不動産に「取得費加算の特例」と「空き家の3,000万円控除」を併用することはできません。

ご自身の状況がどちらの特例も使える要件を満たす場合、どちらか一方を選択する必要があります。

どちらを選択すべきか迷った場合は、税務の専門知識が不可欠です。ご自身で判断せず、必ず専門家にご相談ください。

そもそも売却以前に、不動産を誰が相続するか、どのような割合で分けるかで揉めてしまうケースも少なくありません。
>>遺産の分け方で揉めている

>>不動産の評価額について折り合いがつかない

相続不動産を売却する前の大前提と注意点

税金の特例を検討する以前に、相続した不動産を売却するには、クリアしておくべき前提条件があります。

1. 相続登記が必須

不動産を売却するには、亡くなった被相続人名義のままでは手続きができません。必ず、法務局で不動産の名義を相続人に変更する「相続登記」を完了させる必要があります。
なお、2024年4月1日から相続登記は義務化されており、正当な理由なく怠ると過料の対象となる可能性があります。

2. 遺産分割協議を完了させる

法定相続人が複数いる場合は、「誰がこの不動産を相続するのか」を相続人全員で話し合って決める「遺産分割協議」を行い、その内容を「遺産分割協議書」として書面に残す必要があります。この協議がまとまらない限り、相続登記も売却も進めることはできません。

遺産分割の話し合いの最中に、亡くなった方の遺言書が見つかることもあります。その場合は、家庭裁判所での検認手続きが必要になることもありますので、勝手に開封せず専門家にご相談ください。
>>家から遺言書が見つかった

まとめ

相続した不動産の売却には、譲渡所得税という税金がかかりますが、「取得費加算の特例」や「空き家の3,000万円控除」を活用することで、その負担を大きく軽減できる可能性があります。

しかし、これらの特例は適用要件が非常に複雑で、一つでも満たさないと利用できません。また、売却の前提となる相続登記や遺産分割協議など、クリアすべき法的な手続きも多く存在します。

ご自身のケースで特例が使えるのか、どちらがお得なのか、そもそも売却手続きをどう進めればいいのか。そうした疑問や不安をお持ちでしたら、まずは一度、相続問題に詳しい専門家にご相談いただくことを強くお勧めします。
>>無料相談の流れ

当事務所は、皆様の複雑な相続問題を解決するために、他にはない強みを持っています。

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この記事の執筆者
弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店 横須賀支店長・パートナー弁護士・税理士 中村 賢史郎
保有資格弁護士、税理士、司法書士有資格
専門分野相続事件・離婚事件・不動産事件・破産事件を主に取り扱う
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としている。
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員
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