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生前に「相続放棄する」と念書を書いても無効!法的に有効な相続対策とは

「家業を継ぐ長男に全財産を遺したい。だから、次男には今のうちに『相続を放棄します』という念書にサインしてほしい」
「親の介護を一切しなかった兄には、財産を1円も渡したくない。生前に相続放棄の約束をさせられないか…」

ご家庭の事情により、特定の相続人に財産を渡したくない、あるいは、相続人自身が「自分は相続するつもりはない」と考えるケースは少なくありません。そして、その意思を明確にするため、生前のうちに念書や合意書を作成することがあります。

しかし、親からの圧力や、兄弟間の話し合いで交わされたその「相続放棄の念書」、法的に本当に有効なのでしょうか。

この記事では、なぜ生前の相続放棄が無効となるのか、その法的な理由を明確にし、被相続人(財産を遺す方)の意思を確実に実現するための、法的に有効な相続対策について税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

【結論】生前の「相続放棄」に関する念書・契約はすべて無効です

まず、最も重要な結論から申し上げます。法律上、相続放棄は「相続が開始した後(=被相続人が亡くなった後)」でなければ手続きできず、生前に作成された念書、覚書、契約書などは、たとえどのような形式であっても一切の法的効力を持ちません。

つまり、仮にあなたが「私は父〇〇の相続を一切放棄します」という念書に署名・捺印していても、いざお父様が亡くなった際には、あなたは通常通り法定相続人として相続する権利を持ちます。そして、その権利を行使することも、改めて正式に相続放棄をすることも可能です。

なぜ生前の相続放棄は無効なのか?

これには、主に2つの明確な理由があります。

  1. 相続権は死亡時に初めて発生する権利だから
    相続する権利(相続権)は、被相続人が亡くなった瞬間に初めて発生します。まだ発生すらしていない未来の権利を、事前に放棄することは法律上認められていません。
  2. 本人の自由な意思を保護するため
    もし生前の放棄が認められると、親や他の相続人からの圧力など、不当な干渉によって本意ではない放棄を強いられる危険性があります。このような事態を防ぎ、相続人の自由な意思を保護するために、法律は生前の相続放棄を無効としているのです。

では、法的に有効な「相続放棄」とは?

生前の念書が無効である一方、法律で定められた正しい「相続放棄」は以下の手続きで行います。

  • いつ?相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内
  • どこへ?被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
  • どうやって?「相続放棄の申述書」などの必要書類を提出して行う

このように、相続放棄は厳格な法的手続きです。当事者間の口約束や私的な書面で成立するものでは決してありません。

>>借金などの財産を相続しないようにしたい

「特定の相続人に財産を渡さない」ための有効な生前対策

「念書が無効なら、どうすれば自分の意思通りに財産を遺せるのか?」という疑問が湧くかと思います。ご安心ください。法的に有効な方法はいくつも存在します。

対策①:遺言書を作成する

これが最も基本的かつ確実な方法です。「長男に全財産を相続させる」「妻に自宅不動産を相続させる」といった内容の法的に有効な遺言書を作成しておくことで、法定相続分とは異なる割合で財産を遺すことができます。

>>希望の遺言書を作成したい

ただし、遺言書によっても奪うことのできない、相続人の最低限の取り分として「遺留分」という権利があります。遺留分を無視した内容の遺言書は、後日、相続人から「遺留分侵害額請求」をされ、トラブルになる可能性がある点には注意が必要です。

>>遺産をもらえない内容の遺言書が見つかった

対策②:生前贈与を行う

相続が始まる前に、特定の相続人や第三者に財産を贈与しておく方法です。これにより、相続財産そのものを減らしておくことができます。ただし、贈与税の問題や、後々の遺産分割で「特別受益」として扱われ、争いの種になる可能性も考慮する必要があります。

>>特別受益とは?

対策③:生命保険を活用する

財産を渡したい人を「受取人」に指定した生命保険に加入する方法です。死亡保険金は、原則として受取人固有の財産とされ、遺産分割の対象外となります。そのため、他の相続人の意向に関わらず、確実に指定した人へ現金を遺すことができる有効な手段です。

【補足】生前にできる「遺留分の放棄」との違い

相続放棄と混同されやすい制度に「遺留分の放棄」があります。これは、前述した最低限の取り分である「遺留分」を主張する権利を放棄する手続きです。

「相続放棄」と違い、「遺留分の放棄」は生前でも家庭裁判所の許可を得れば可能です。

ただし、これはあくまで遺留分という権利を放棄するだけで、相続人としての地位を失うわけではありません。もし故人に借金があれば、その返済義務は負うことになるため、全く性質の異なる制度と理解してください。

まとめ:無効な念書に頼らず、正しい生前対策を

生前に作成した「相続放棄の念書」は、法的に何の意味も持ちません。そのような不確実なものに頼ることは、将来の相続トラブルの火種を自ら作っているようなものです。

ご自身の意思に沿った相続を実現したいと考えるのであれば、必ず「遺言書」をはじめとする、法的に有効な生前対策を行う必要があります。どの方法がご自身の家族構成や財産状況にとって最適なのか、一概に言うことはできません。

ご自身の想いを確実に未来へ繋ぐためにも、相続対策を考え始めたら、ぜひ一度、専門家である弁護士にご相談ください。

当事務所は、皆様の複雑な相続問題を解決するために、他にはない強みを持っています。

①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験

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この記事の執筆者
弁護士法人TLEO 虎ノ門法律経済事務所横須賀支店 横須賀支店長・パートナー弁護士・税理士 中村 賢史郎
保有資格弁護士、税理士、司法書士有資格
専門分野相続事件・離婚事件・不動産事件・破産事件を主に取り扱う
広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
経歴広島大学法学部夜間主卒業
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員