公正証書遺言を作成する際の「証人」|なれない人の範囲と見つからない場合の対処法

ご自身の財産をめぐる将来のトラブルを防ぐため、最も確実で安心な方法の一つが「公正証書遺言」の作成です。公証人が関与して作成するため証明力が高く、原本が公証役場に保管されるため紛失や改ざんの心配もありません。しかし、この公正証書遺言を作成する際には、法律で定められた要件として「2人以上の証人」の立会いが必要不可欠です。
「証人はいったい誰に頼めばいいの?」「家族や親戚ではダメなの?」「頼める人が見つからない…」といったお悩みは、遺言作成を検討される多くの方が抱える問題です。この記事では、公正証書遺言の証人になれない人の範囲と、適切な証人が見つからない場合の具体的な対処法について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
なぜ公正証書遺言に「証人」が必要なのか?
証人の役割は、単にその場にいることではありません。証人は、以下の重要な点を確認し、証明するために立ち会います。
- 遺言者が、本人自身の明確な意思で遺言の内容を公証人に伝えたこと。
- 遺言者が、遺言を作成する当時、正常な判断能力を有していたこと。
第三者である証人が客観的な立場で関与することにより、遺言書の信頼性が担保され、「無理やり書かされたのではないか」「認知症で判断能力がなかったのではないか」といった死後の紛争を未然に防ぐ効果があるのです。
【要注意】法律で定められた「証人になれない人」(欠格者)
証人は誰でもなれるわけではありません。民法第974条では、利害関係の衝突を避けるため、以下の人々は証人になれない「欠格者」として明確に定められています。もし欠格者が証人となった場合、その公正証書遺言は全体が無効になってしまうため、細心の注意が必要です。
1. 未成年者
満18歳未満の方は証人になることができません。
2. 推定相続人、受遺者及びこれらの配偶者並びに直系血族
ここが最も重要なポイントです。これは、遺言によって直接的な利害関係が生じる人々を排除するための規定です。
- 推定相続人:遺言者が亡くなった場合に相続人となるはずの人(配偶者、子、親など)。
- 受遺者:遺言によって財産を受け取る人。
- 上記の人々の配偶者と直系血族:推定相続人や受遺者の夫・妻、親、子、孫など。
(具体例)長男に財産を相続させる内容の遺言の場合、長男自身はもちろん、その妻や子、そして相続人である配偶者(妻)なども証人にはなれません。利害関係のないご兄弟やご友人は候補になり得ますが、プライベートな内容を知られたくないという方も多いでしょう。
3. 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
遺言を作成する公証人と身分関係・雇用関係にある人も、公正さを担保するために証人から除外されています。
「頼める証人が見つからない…」その場合の最適な対処法
「信頼できる友人はいるが、遺産の内容を知られたくない」「親族はほとんどが利害関係者で頼めない」というケースは非常によくあります。ご安心ください。そのような場合でも、確実で安心な方法が用意されています。
対処法1:公証役場で紹介してもらう
最も一般的で確実な方法です。公正証書遺言の作成を依頼する公証役場に相談すれば、信頼できる証人候補者を紹介してもらえます。通常、公証役場が提携している法律関係の知識を持った方(元書記官など)が務めてくれます。守秘義務も徹底されており、安心して任せることができます。
費用は証人1人あたり1万円前後が相場ですが、公証役場によって異なりますので事前に確認しましょう。
対処法2:遺言作成を依頼した専門家に任せる
遺言書の作成サポートを弁護士や司法書士などの専門家に依頼している場合、その専門家やその事務所の職員が証人となることもできます。
この方法のメリットは、遺言の内容を既に把握している専門家が立ち会うため、当日の手続きが非常にスムーズに進む点です。もちろん、専門家には厳格な守秘義務がありますので、プライバシーが外部に漏れる心配は一切ありません。
当事務所は、皆様の複雑な相続問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
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公正証-書遺言の証人探しは、遺言作成における一つのハードルですが、公証役場や法律専門家といった公的なサービスを利用することで、安全かつ確実に解決できます。何よりも重要なのは、誤って欠格者に依頼してしまい、せっかくの遺言書が無効になる事態を避けることです。当事務所では、ご意向を丁寧に伺い、法的に万全な遺言書の作成はもちろん、証人の手配まで責任をもってサポートいたします。お一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年9月 18日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員