公正証書遺言の探し方。閲覧・謄本の交付請求に必要な書類と手続き

「父は生前、公正証書遺言を作ったと言っていたが、肝心の遺言書が見つからない」「遺言執行者に指定されたが、手続きを進めるために遺言書の正式な写しが必要だ」。公正証書遺言は、その原本が公証役場に厳重に保管されているため、紛失や改ざんのリスクが低い、非常に安全な遺言方式です。
たとえ手元に写し(謄本)がなくても、相続人などの正当な利害関係人であれば、公証役場でその内容を確認したり、再発行を受けたりすることが可能です。この記事では、公正証書遺言の探し方から、閲覧、そして手続きに不可欠な謄本の交付請求方法まで、具体的な流れと必要書類について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
STEP1:遺言書の有無と保管場所を調べる「遺言検索」
まず、故人が公正証書遺言を作成していたかどうかが不明な場合や、どの公証役場で作成したか分からない場合は、「遺言検索システム」を利用して、全国の公証役場に保管されている遺言書を調べることができます。
この検索は、相続人などの利害関係人が、お近くの公証役場に出向いて依頼することで行えます。検索の結果、遺言書の有無、作成年月日、保管されている公証役場名などが判明します。検索自体に手数料はかかりません。
【遺言検索に必要な主な書類】
- 遺言者が亡くなったことが分かる戸籍(除籍)謄本
- 請求者が相続人であることが分かる戸籍謄本(上記戸籍で関係が分かれば不要)
- 請求者本人の本人確認書類(運転免許証など)と印鑑
- 代理人が請求する場合は、上記に加えて委任状と代理人の本人確認書類など
- (各公証役場により必要資料は異なりますので、事前に公証役場にご確認ください。)
STEP2:謄本の交付請求|申請者別の必要書類【チェックリスト】
遺言書が保管されている公証役場が判明したら、次はその内容を証明する「謄本(とうほん)」の交付を請求します。謄本とは、原本の内容を全て写した、公証人による認証付きの公式なコピーであり、不動産の名義変更や預貯金の解約など、あらゆる相続手続きにおいて、原本と同じ効力を持ちます。
請求できる人と、必要書類は以下の通りです。
① 遺言者本人が請求する場合(生前)
遺言者本人が、ご自身の遺言書の謄本を再発行してもらう場合です。
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 印鑑
- (各公証役場により必要資料は異なりますので、事前に公証役場にご確認ください。)
② 相続人が請求する場合(死亡後)
最も一般的なケースです。相続人が、亡くなった方の遺言書の謄本を請求します。
- 遺言者が亡くなったことが分かる戸籍(除籍)謄本
- 請求者が相続人であることが分かる戸籍謄本
- 請求者の本人確認書類
- 請求者の印鑑
- (各公証役場により必要資料は異なりますので、事前に公証役場にご確認ください。)
③ 遺言執行者など、その他の利害関係人が請求する場合
遺言で遺言執行者に指定された人などが請求する場合です。
- 上記②の書類一式
- ご自身が遺言執行者であることなどが分かる資料(遺言書の写しなど)
- (各公証役場により必要資料は異なりますので、事前に公証役場にご確認ください。)
謄本の交付手数料は、遺言書の枚数に応じて、1ページあたり数百円かかります。
手続きが難しい場合は弁護士にご相談を
公正証書遺言の謄本請求手続きは、必要書類さえ揃えれば、それほど難しいものではありません。しかし、「相続人を確定させるための、出生から死亡までの一連の戸籍謄本を集める」という作業は、非常に煩雑で、多くの方がつまずくポイントです。
また、相続人が遠方に住んでいる場合や、仕事で平日に役所や公証役場に行く時間がない、という方も多いでしょう。弁護士にご依頼いただければ、これらの煩雑な書類収集から、公証役場での手続きまで、全てをあなたの代理人として、迅速かつ確実に行うことができます。
虎ノ門法律経済事務所 横須賀支店の強み
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
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当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。
公正証書遺言は、あなたの相続手続きを円滑に進めるための、故人からの最後のメッセージです。その内容を正確に把握し、故人の意思を実現するためにも、謄本の入手は不可欠です。手続きに少しでも不安や困難を感じたら、無理にご自身で進めようとせず、私たち専門家にお任せください。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年8月12日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員