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相続財産の中心が実家などの不動産である場合、遺産の分け方として最も公平で分かりやすいのが、不動産を売却してお金に換え、その現金を相続人同士で分け合う「換価分割（かんかぶんかつ）」です。物理的に分けられない不動産を、誰もが納得しやすい「現金」という形で分配できるため、多くのケースで採用される有効な方法です。

しかし、この換価分割、やり方を間違えると「安く売却されて損をした」「売却後の税金や経費の負担で揉めた」といった、新たなトラブルの火種になりかねません。この記事では、相続した不動産の換価分割を成功させ、相続人全員が納得できる結果を得るための5つの重要なコツについて、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。

遺産分割における「換価分割」とは？

換価分割とは、遺産分割協議において、相続した不動産などの財産を売却し、その売却代金から諸経費や税金を差し引いた残額を、相続人間で合意した割合（法定相続分など）に応じて分配する方法です。公平性が高く、後々のトラブルが起きにくいのが最大のメリットです。

換価分割を成功させる４つのコツ

換価分割をスムーズに進め、売却損などの失敗を避けるためには、事前の準備と相続人全員の合意形成が不可欠です。

コツ1：売却する「前」に、相続人全員で分割方法を合意する

最も重要なのが、不動産会社に売却を依頼する前に、遺産分割協議を完了させ、その内容を「遺産分割協議書」に明記しておくことです。具体的には、以下の点を全員で合意しておく必要があります。

• 換価分割という方法で分割すること
• 売却代金の分配割合（例：法定相続分通り、など）
• 売却にかかる諸経費（仲介手数料など）の負担方法
• 売却時の最初の売り出し価格

これらの合意がないまま売却を進めると、「もっと高く売れたはずだ」「経費の負担割合がおかしい」といったトラブルに発展しがちです。

コツ2：複数の不動産会社から査定を取り、適正価格を把握する

「いくらで売れるのか」という価格の目安は、換価分割の出発点です。一社だけの査定を鵜呑みにせず、必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された査定額の根拠を比較検討しましょう。これにより、その不動産の適正な市場価値を客観的に把握でき、安売りによる売却損を防ぐことができます。

コツ3：相続物件に強い、信頼できる不動産会社を選ぶ

不動産会社ならどこでも良いわけではありません。相続が絡む不動産の売却には、法律や税金の専門知識が求められます。相続案件の取り扱い経験が豊富で、弁護士や税理士などの専門家と連携できる、信頼性の高い不動産会社を選ぶことが成功の鍵です。

コツ4：売却にかかる税金・諸経費を正確に理解する

不動産を売却して利益が出た場合、「譲渡所得税」という税金がかかります。また、売却の際には仲介手数料や登記費用などの諸経費も発生します。売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。どのくらいの費用や税金がかかり、最終的な手取り額がいくらになるのかを事前にシミュレーションし、相続人全員で共有しておくことが重要です。

相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。

換価分割は、一見シンプルに見えて、実は法律・税務・不動産実務という複数の専門知識が要求される複雑な手続きです。私たち弁護士にご相談いただければ、遺産分割協議書の作成から、信頼できる不動産鑑定士や不動産会社のご紹介、税理士と連携した税金対策まで、ワンストップでサポートいたします。相続人全員が納得できる、最善の換価分割を実現するために、まずは一度、お気軽にご相談ください。

本記事は、令和7年8月11日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。