先妻の子と後妻の相続トラブルにどう対応するか

「父が亡くなった後、会ったこともない後妻から『遺産はすべて私がもらう』と連絡が来た」「夫が必死に築いた財産を、付き合いのない先妻の子に渡すのはどうしても納得できない」
再婚家庭の相続は、単なる財産の問題だけでなく、長年の複雑な感情が絡み合うため、相続トラブルの中でも特に深刻化しやすい類型の一つです。
本記事では、このような「先妻の子と後妻」が関わる相続問題について、相続相談実績が豊富な当事務所の弁護士が、法的なポイントと具体的な解決策を徹底解説いたします。
【実際に当事務所に寄せられたご相談事例】
- 事例1(先妻の子より):父が亡くなり、遺産分割協議をしたいのですが、後妻とは全く面識がありません。どう連絡を取ればよいか分からず、感情的な対立も予想されるため、協議の進め方に困っています。
- 事例2(後妻より):夫が亡くなりました。遺言はありません。夫の前妻の子の代理人と名乗る弁護士から内容証明郵便が届き、高圧的な内容に精神的に参ってしまいました。どう対応すればよいでしょうか。
▶︎ 他の弁護士から手紙が届いた方はこちら - 事例3(被相続人本人より):私には前妻との間に子がいますが、長年連れ添った今の妻に、まずは自宅と当面の生活資金を遺したい。しかし、先妻の子の遺留分を考えると、後々紛争にならないか心配です。
▶︎ 遺産の分け方で揉めている方はこちら
【基本の確認】この場合、誰が相続人になるのか?
まず、法律上の権利関係を正確に理解することが重要です。
- 先妻:離婚した時点で他人となるため、相続権はありません。
- 後妻:法律上の配偶者であるため、常に相続権があります。
- 先妻の子:父親との親子関係は消えないため、常に相続権があります。
- 後妻と亡くなった父親との間の子:父親と親子関係があるため、常に相続権があります。
つまり、相続人は「後妻」と「父親と血縁関係にある子」になります。この両者が遺産分割協議を行わなければならず、面識がなかったり、感情的な対立があったりするため、トラブルに発展しやすいのです。
【最重要】争いを避けるための生前対策3選
ご自身の死後、大切な家族が争うことのないよう、元気なうちに以下の対策を検討することが極めて重要です。
対策1:遺言書を作成し、意思を明確にする
最も基本的かつ効果的な対策です。誰にどの財産を渡すかを明確に指定することで、無用な争いを防ぎます。ただし、先妻の子には最低限の相続分である「遺留分」を請求する権利があります。「全財産を後妻に」という遺言を遺しても、先妻の子から「遺留分侵害額請求」をされる可能性があることは念頭に置きましょう。遺言書の「付言事項」で、なぜそのような分け方にしたのか、家族への感謝の気持ちなどを綴っておくことも、感情的な対立を和らげるのに役立ちます。
▶︎ 希望の遺言書を作成したい方はこちら
▶︎ 遺産をもらえない内容の遺言書が見つかった方はこちら(遺留分について)
対策2:生命保険を活用する
死亡保険金は、原則として「受取人固有の財産」とされ、遺産分割の対象になりません。例えば「後妻を受取人」とする生命保険に加入しておくことで、遺産とは別の形で、後妻にまとまった生活資金を遺すことができます。
【注意点】ただし、保険金の額が遺産総額に比べて著しく過大であるなど、「特段の事情」がある場合には、例外的に特別受益に準じて扱われる可能性があります。
対策3:生前贈与で財産を移しておく
生前に後妻や後妻の子に財産を贈与する方法です。ただし、相続開始前に行われた多額の贈与は、遺産の前渡し(特別受益)とみなされ、遺産分割の際に考慮される可能性がありますので注意が必要です。
▶︎ 特別受益とは?詳しくはこちら
【紛争になってしまったら】弁護士への依頼が解決への近道です
「生前の対策が間に合わなかった」「すでに関係がこじれてしまっている」そのような場合でも、決して諦める必要はありません。しかし、先妻の子と後妻という、ただでさえ感情的な対立が激しくなりがちな当事者同士で直接交渉することは、精神的なご負担が大きく、解決をより困難にする恐れがあります。
紛争になってしまった場合、弁護士にご依頼いただくことには、主に以下のようなメリットがあります。
- メリット1:精神的なストレスから解放される
会ったこともない、あるいは感情的に対立している相手と、財産について直接話し合うのは大変な苦痛を伴います。弁護士があなたの代理人(交渉の窓口)となることで、相手方と直接顔を合わせたり、連絡を取り合ったりする必要は一切なくなります。法的な主張はもちろん、言いにくいことも全て弁護士が代弁し、あなたの「盾」となります。 - メリット2:法律に基づいた正当な主張ができる
「後妻だから」「長年音信不通だったくせに」といった感情論ではなく、法律に基づいた冷静な交渉を進めることができます。相手が不当な要求をしてきた場合には的確に反論し、逆にこちらが主張すべき権利(適正な相続分、遺留分、財産の開示請求など)は、法的な根拠をもって堂々と主張します。 - メリット3:交渉から法的手続きまで、すべてを一任できる
相手方の連絡先の調査から、財産調査、遺産分割協議書の作成、そして交渉が決裂した場合の遺産分割調停・審判の申立てまで、複雑で煩雑な手続きの全てを弁護士に一任できます。あなたはご自身の日常を守りながら、解決へのプロセスを進めることができます。 - メリット4:税務・登記まで含めたワンストップ対応
当事務所の弁護士は、相続案件の経験が豊富であることはもちろん、横須賀支店では税理士・司法書士の資格を併せ持つ弁護士が在籍しております。そのため、遺産分割だけでなく、その後の相続税の申告や不動産の名義変更(相続登記)まで、一貫して見通した最適な解決策をご提案することが可能です。「あちこちの専門家に相談する」という手間なく、すべての問題をワンストップで解決に導きます。
相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください
先妻の子と後妻の相続問題は、法律の知識はもちろん、複雑な人間関係への配慮が不可欠な、極めてデリケートな問題です。生前の対策を誤ったり、相続開始後の対応を間違えたりすると、家族の間に取り返しのつかない溝が生まれてしまいます。
初回のご相談は45分無料です。一人で悩まず、まずはお気軽に専門家である私たちにご相談ください。
>>無料法律相談についての流れはこちら

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としている。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員