「おひとりさま」の終活。遺産は最終的にどうなる?特別縁故者と国庫帰属

生涯独身の方、お子さんがいらっしゃらないご夫婦、ご家族と死別された方など、いわゆる「おひとりさま」として人生を歩まれる方が増えています。「自分が懸命に築き上げてきたこの財産は、私が亡くなった後、一体どうなってしまうのだろう…」「身寄りがないから、最終的には国に没収されてしまうの?」
横須賀市やその近郊にお住まいの方からも、こうした将来へのご不安を伺う機会は少なくありません。結論から言うと、何も対策をしなければ、あなたの財産は最終的に国のもの(国庫に帰属)になります。しかし、そうなるまでにはいくつかの段階があり、また、あなたの意思を反映させる方法も存在します。この記事では、おひとりさまの遺産の行方と、「特別縁故者」という制度、そして最も重要な生前対策について、税理士・司法書士有資格の弁護士が分かりやすく解説します。
遺言がない場合、おひとりさまの遺産はどうなる?
ご自身で財産の行き先を決める「遺言書」がない場合、遺産は法律に定められた長い道のりを経て、最終的な行き先が決まります。
STEP1:相続人捜索と「相続財産清算人」の選任
まず、本当に相続人がいないかを確定させるため、利害関係者(債権者や検察官など)の申立てにより、家庭裁判所が「相続財産清算人(旧:相続財産管理人)」を選任します。相続財産清算人には、多くの場合、弁護士などの専門家が選ばれます。
STEP2:債権者・受遺者への弁済
清算人は、官報で公告を行い、故人にお金を貸していた人(債権者)や、遺言で財産をもらうはずだった人(受遺者)を探します。申し出があった場合は、遺産の中から清算人が支払い(弁済)を行います。
STEP3:「特別縁故者」への財産分与
相続人がいないことが確定した後、一定期間内に「特別縁故者」からの申立てがあれば、家庭裁判所の判断により、遺産の一部または全部がその人に分与されることがあります。
STEP4:国庫への帰属
ここまでの手続きをすべて終えて、なお残った財産が、最終的に国のものとなります。
「特別縁故者」とは?財産を受け取れる可能性がある人
法定相続人ではないものの、故人と特別な縁故があった人が、家庭裁判所に申し立てることで財産を受け取れる可能性がある制度、それが「特別縁故者」制度です。
特別縁故者と認められる3つのケース
法律では、主に以下のような方が特別縁故者にあたるとされています。
- 被相続人と生計を同じくしていた者
内縁の配偶者(事実婚のパートナー)や、事実上の養子・養親などが典型例です。 - 被相続人の療養看護に努めた者
長年にわたり、献身的に介護や身の回りの世話をしてきた親族、友人、近隣住民などがこれにあたります。近年では、お世話になった社会福祉法人などが認められるケースもあります。 - その他、被相続人と特別の縁故があった者
上記のケースには当てはまらなくても、「親子同然の付き合いがあった」「経済的に長年支援してきた」など、密接な関係が認められる場合です。
注意点:自動的にもらえるわけではない
重要なのは、ご自身が「特別縁故者だ」と思っていても、自動的に財産がもらえるわけではないという点です。相続人がいないことが確定してから3ヶ月以内に、ご自身で家庭裁判所に「特別縁故者に対する相続財産分与」の申立てを行う必要があります。申立てをした上で、裁判所が一切の事情を考慮して、財産を分与するかどうか、分与するならいくらが妥当かを判断します。必ずしも申立てが認められるとは限らない、ハードルの高い制度であることは理解しておく必要があります。
自分の意思を確実に実現する、唯一で最善の方法「遺言書」
ここまで見てきたように、遺言書がない場合の遺産整理は、家庭裁判所での複雑な手続きが必要となり、時間も費用もかかります。また、特別縁故者の制度も、必ずあなたの想いが実現するとは限りません。
ご自身の意思で、財産の行き先を確実に決めることができる、唯一で最善の方法。それが「遺言書」の作成です。
遺言書の絶大なメリット
- お世話になった人に、確実に財産を遺せる
裁判所の判断に委ねることなく、ご自身の感謝の気持ちを財産という形で確実に届けることができます。 - 法定相続人ではない人にも自由に遺せる
内縁の配偶者、友人、お世話になった介護士さん、あるいは応援したいNPO法人や自治体(寄付)など、相手を自由に選んで財産を「遺贈」できます。 - 面倒な手続きを大幅に省略できる
遺言書で「遺言執行者」を指定しておけば、相続財産清算人の選任などは不要となり、死後の手続きが非常にスムーズに進みます。
おひとりさまの終活において、遺言書の作成は、最も重要なものなのです。
「おひとりさま」の終活・相続対策は、元気なうちから
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広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としている。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員