【解決事例】父の死後、数千万円の借金が発覚。3ヶ月の期限を過ぎた相続放棄を成功させた事例

相続放棄には、「相続の開始を知った時から3ヶ月」という、非常に厳しい期間制限があります。この期限を過ぎてしまうと、原則として、亡くなった方の借金を全て引き継がなければなりません。しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。特別な事情があれば、3ヶ月を過ぎた後でも、相続放棄が認められる可能性があるのです。
当事務所では、この「3ヶ月の壁」を乗り越え、ご依頼者様を予期せぬ多額の借金から救った、数多くの解決実績がございます。今回は、その中から一つの事例をご紹介します。
ご相談の状況:突然届いた、数千万円の借金の催促
- ご依頼者様:50代 男性
- 亡くなった方(被相続人):お父様
- ご相談内容:父が亡くなってから半年以上が経過したある日、突然、信用保証協会から「お父様が会社の借入金の連帯保証人になっていたため、代わりに数千万円を支払ってください」という内容の通知が届いた。父の葬儀には出席しており、父が亡くなった事実は半年以上前から知っていた。遺産については、特にプラスの財産はないと聞いていたため、何も手続きをしていなかった。
ご依頼者様は、「まさか父にそんな借金があったとは」と、突然の出来事に大きなショックを受け、まさに絶望的な状況で当事務所にご相談に来られました。
問題のポイント:「3ヶ月」の熟慮期間の起算点
このケースの最大の争点は、相続放棄の熟慮期間である「3ヶ月」を、いつから数え始めるか、という点です。
法律では、熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算すると定められています。通常これは、「被相続人が亡くなったこと」と「自分が相続人であること」を知った時を指します。ご依頼者様は、お父様の死亡を半年以上前に知っていたため、原則通りに考えれば、熟慮期間はとっくに過ぎていました。
しかし、相続財産が全くないと信じ、かつ、そのように信じたことに相当な理由を丁寧に裁判所に主張した場合、相続放棄が認められることがあります。
当事務所の対応と解決結果
弁護士の対応
ご依頼者様から詳細な聞き取りを行い、以下の点を中心に、家庭裁判所へ提出する「事情説明書(上申書)」を作成しました。
- ご依頼者様は、生前のお父様から、事業や借金について一切の話を聞かされていなかったこと。
- お父様名義の目ぼしい財産(不動産や多額の借金)はなく、借金もないものと信じていたこと。
- お父様と債権者との間の資料が、ご自宅には一切残されていなかったこと。
- 債権者の通知によって、初めて借金の存在を知り、直ちに当事務所に相談に来られたこと。
これらの事実を、時系列に沿って丁寧に、かつ、説得的に主張することで、「ご依頼者様が、借金の存在を知らなかったことについて、相当な理由がある」ことを裁判所に訴えました。
解決結果
これらの主張が認められ、家庭裁判所は、熟慮期間の起算点を「債権者から通知が届いた日」と認定し、ご依頼者様の相続放棄の申述を無事に受理しました。
これにより、ご依頼者様は、お父様が遺した数千万円の連帯保証債務を一切引き継ぐことなく、平穏な生活を取り戻すことができました。
弁護士からのコメント
3ヶ月の熟慮期間が過ぎてしまった後の相続放棄は、法律の専門家でなければ対応が極めて困難な、高度な専門知識が要求される分野です。ご自身で「もう手遅れだ」と判断してしまう前に、まずは一度、私たちにご相談ください。あなたの状況を詳細にお伺いし、相続放棄が認められる可能性が少しでもある限り、私たちは諦めません。
当事務所は、皆様の複雑な相続問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
相続問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。 - ③グループ内で連携したワンストップサービス
当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年9月2日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員