【解決事例】父の借金を相続放棄。疎遠な親族に迷惑をかけず、円満に手続きを完了させた事例

親が遺した財産が、プラスの財産よりも借金などのマイナスの財産の方が多い場合、相続人は「相続放棄」をすることで、その返済義務から逃れることができます。しかし、相続放棄をすると、相続権は次の順位の親族へと移っていきます。この「相続権の連鎖」を正しく理解していないと、良かれと思って行った相続放棄が、かえって疎遠な親族に大きな迷惑をかけてしまう可能性があります。
当事務所では、このような複雑な状況において、全ての関係者が円満に問題を解決できるよう、専門家として最適な手続きをサポートします。今回は、ご依頼者様のご負担で、全ての相続放棄手続きを円滑に完了させた事例について、ご紹介します。
ご相談の状況:父の借金が、疎遠な親族に及ぶことへの懸念
- ご依頼者様:40代 男性
- 亡くなった方(被相続人):お父様
- ご相談内容:父が亡くなった後、借金が数千万円あることが判明しました。自分たち子供は当然、相続放棄をしたい。しかし、自分たちが放棄すると、次に父の兄弟(叔父・叔母)、そして兄弟のうち1人は無くなっていることから、その子供たち(いとこ)へと相続権が移ってしまうことを知りました。
問題のポイント:「相続権の連鎖」と、後順位相続人への配慮
このケースの最大の課題は、ご依頼者様(第一順位の相続人)が相続放棄をした後、次順位(第三順位)の相続人である叔父・叔母、そしてその代襲相続人である、いとこ達に、どのように事情を伝え、理解を得て、相続放棄をしてもらうか、という点にありました。
何も連絡せずにご依頼者様だけが相続放棄をすれば、ある日突然、叔父やいとこの元に、債権者からの督促状が届くことになり、親族間トラブルに発展する可能性があります。
当事務所の対応と解決結果
弁護士の対応
当事務所は、ご依頼者様の「親族に迷惑をかけたくない」という強いご意向を尊重し、以下の手順で、包括的な相続放棄サポートをご提案・実行しました。
- 全相続人の調査と確定:まず、戸籍を網羅的に収集し、第三順位の相続人となる叔父・叔母、そして代襲相続人となる、いとこ全員を法的に確定させました。
- 弁護士による、全相続人への丁寧な事情説明:次に、当事務所の弁護士が、ご依頼者様の代理人として、判明した全ての相続人に対し、手紙でご連絡を差し上げました。その手紙には、①相続の経緯、②多額の借金が存在するため、ご依頼者様が相続放棄をした事実、③これにより皆様に相続権が移ったこと、④皆様も相続放棄をしないと借金の返済義務を負う可能性があることを丁寧にご説明しました。
- 全相続人の相続放棄手続きを代行:ご連絡した相続人の皆様全員から、手続きへのご協力をいただくことができました。当事務所が窓口となり、必要書類のやり取りを進め、最終的に、ご依頼者様を含めた全ての相続人について、家庭裁判所での相続放棄申述を、争いなく完了させました。
解決結果
弁護士が中立的かつ専門的な立場で介入し、丁寧な説明を尽くしたことで、疎遠だったご親族との間に無用なトラブルを生じさせることなく、全ての関係者が、亡くなったお父様の借金問題から完全に解放されました。
当事務所は、皆様の複雑な相続問題を解決するために、他にはない強みを持っています。
- ①1972年創立、所属弁護士数約100名の実績と経験
1972年の創立以来、半世紀にわたり数多くの相続案件を手掛けてまいりました。約100名の弁護士が所属しており、それぞれの事案で蓄積された豊富な判例知識と実務経験を基に、最適な解決策をご提案します。 - ②税理士・司法書士有資格の弁護士が対応
相続問題、特に不動産や多額の財産が関わるケースでは、税務の視点が欠かせません。当事務所横須賀支店には、税理士・司法書士有資格の弁護士が在籍しています。法務と税務、登記の全方面から多角的なアドバイスをして最善の解決を目指します。 - ③グループ内で連携したワンストップサービス
当事務所は、司法書士、税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者がグループ内に存在するため、各専門家と緊密に連携し、あらゆる手続きをワンストップでサポートすることが可能です。
相続にお困りの方は虎ノ門法律経済事務所にご相談ください。
相続放棄は、時に、ご自身の家族だけでなく、多くの親族を巻き込む可能性がある、非常にデリケートな手続きです。法的な知識はもちろんのこと、関係者全員の心情に配慮した、丁寧なコミュニケーションが不可欠です。私たちは、単に手続きを代行するだけでなく、あなたの「円満に解決したい」という想いを実現するために、最善を尽くします。まずは一人で悩まず、ご相談ください。
>>無料相談の流れはこちら本記事は、令和7年9月2日時点の法令等に基づき作成しております。法改正などにより、最新の情報と異なる場合がございます。具体的な事案については必ず弁護士にご相談ください。

広島大学(夜間主)で、昼に仕事をして学費と生活費を稼ぎつつ、大学在学中に司法書士試験に合格。相続事件では、弁護士・税理士・司法書士の各専門分野における知識に基づいて、多角的な視点から依頼者の最善となるような解決を目指すことを信念としています。
広島大学法科大学院卒業
平成21年 司法書士試験合格
令和3年4月 横須賀支部後見等対策委員会委員
令和5年2月 葉山町固定資産評価審査委員会委員
令和6年10月 三浦市情報公開審査会委員
令和6年10月 三浦市個人情報保護審査会委員
令和7年1月 神奈川県弁護士会横須賀支部役員幹事
令和7年3月 神奈川県弁護士会常議員